石井ようこ、23歳、おっぱいパブから吉原のソープランドに


生中出しを求められる吉原ソープ

朝から雨。
この寒気は底冷えというのだろうか。
どんよりとしたやな天気だ。

スカウトに出るのはヤメ。
ウチでパソコンをいじっていた。

昼を少し過ぎた頃、携帯から着信音が。
ディスプレイを見ると、石井ようこから。

以前に、半年位前だったか、新宿駅の東口の映画看板の前でスカウトした。

身長が165位あり、お尻がムッチリ。
吹き出ものがないスベスベの丸い美尻だ。
綺麗な背中に長い髪が似合う、スラリとした印象の女のコ。

「どうしたの?」
「前の店やめようとおもって」
「そう、なんで?」
「店が死んでいる状態で稼げないの」

久しぶりなので近況を交えながら話をするが、彼女はなにか言いたそうな感じがする。

彼女は1人暮しの女友達のウチに居候しながら、渋谷のおさわりパブで働いている。

半年ほど前ににアルタ前広場でスカウトしたときは、新宿のAVプロダクションに所属した。

アルタ前広場
アルタ前広場の向こうに見えるじゅらくビル

綺麗な背中に美尻だと知ってるのは、宣材写真を見たから。
残念ながら、直接それを見た訳ではない。

重ねて残念なことに、AVは続かなかった。
マネージャーも残念がっていた。
まれに見る美尻なのだから。

性格はいいコだなんだけど、ちょっと時間にだらしがないから、スケジュールが組めなかったとマネージャーはいう。

AVは朝に集合して、持物は何々と打ち合わせが細かい。
ルーズなコはAVはつとまらない。

「・・・それでね、友達と2人で店替えようってなって」
「それならいい店調べようか?」
「うん」
「で、今どこにいるの?」
「田畑」
「えっ」
「実は今度ソープやろうと思って。・・・午前中から面接しているの」
「じゃ、30分でいくからまっていて。いや、40分だな。ともかく急ぐ」
「うん」

正直ビックリした。
おさわりパブからソープへとは考えてなかったから。

ソープはイメージ的に重労働と思われているが、意外にそうではない。
むしろヘルスのほうが重労働かも。

ヘルスは何セットもこなして、あれやってこれやってと注文がうるさいし。

しかし、ヘルスやAVプロダクションに入れこむ場合、ソープは大変だとはよく使う。

特に借金があるコには、しっかり仕事しないとソープでしか返せなくなるよ、と言って効かせる。

借金イコールソープイコール不幸の図式イメージは効果的だ。
それに吉原のソープは高級店が多く、全国の金持ちが集まる感がある。

ヘルスとは客層が違う。
ソープは風俗の王道とのゆえんがよくわかる。

だけど彼女は高級店じゃないほうがいい。
なんてたって高級店は、仕事きっちりで生中だしがあるから。
AVでも生はNGだった彼女は、引いてしまうのではないか。

高級店ではないのだけど、系列で3店舗あるグループがある。
4コースの料金設定があって、素人っぽい娘がいます、というのが売りのソープでゴム付き。

ここの社長に電話して、用件を伝えた。
まれに見る美尻、というのも推しといた。

吉原ソープの面接で

急いで支度をして外にでる。
吐く息が白い。

早歩きで駅に向かい、電車に乗り、程なく人が少ない田端駅についた。

髪型をショートにした彼女は、ベージュのウールのコートを着て、小さくて静かな北口にいた。

コートとヒールが、スラリとした身長を引き立たせている。
ただ、笑んだ表情は元気があるようにも、ウールコートには暖かさも感じられなかった。

ここから吉原へは、タクシーでワンメーター程。
一緒にきた友達は、もう店が決まったとのこと。

彼女は自信がなく、迷いながらも、1店舗だけ高級店に面接に行った。

だけど、その高級店はやめて駅まで戻ってきた。
生中出しと広告顔出しが条件だったからだと。

この後に面接予定の電話をしたが、自分のことを思い出して連絡したとのこと。

この寒さと小雨の降る中でのソープの面接という状況。
心細かったのかなとは思った。

どんよりした天気でなかったら、自分には電話はこなかったかも。

「ソープだからしっかり貯金して店あがるようにしなよ」
「うん 友達と2人でもそう決めた」
「目標は?」
「500万円ためるまでがんばる」
「だったら、オレのおじさんが銀行員だからさ、通帳を預けてみない?」
「なにいってんの」
「すみません、そんなおじさんいません」

彼女は23歳で確か100万円程借金がある。
何の借金かは詳しくは聞かなかったが、男がらみだとは言っていた。

片親で、その母親は60歳を少し越えた年齢と聞き、「ずいぶんはなれているね」と以前話した記憶がある。

それはそうと。
自分が紹介する店の条件でOKだとという彼女。

話が早い。
予定している面接の店には、断りの電話をいれさせた。
狭い吉原なのだから、面接のバックレだけはやめとこうかと。

そうして今から行く店の説明をしているうちに、タクシーは吉原についた。

メインの通りからすこし奥の場所に●●●●はある。

「ここの社長面倒見いいいから。店も合わせて見てもらって、それで、もし気に入らなかったら合図おくってよ。足つつくとかさ」
「うん、わかった」
「じゃ、いこう!」

とはいってもここまでくれば入店も同然だ。

店に入り、マネージャーにあいさつして、奥の部屋へ案内された。

「どうも、どうも」と社長は笑顔でくる。
まれに見る美尻というのが効いたのかはわからない。

ごぶさたのあいさつの後、彼女に店のシステムを説明。
彼女はあさって日曜日から出勤する。

スカウトバックは、10勤後5万円、それから10勤で5万円。
領収書持参で受け取りに行く。

そのときには、交通費として1万円を受け取り、雑談も交え、1時間程で店をでる。

帰りは店の送迎車で、日暮里駅まで送ってもらった。
ちなみに、田端駅よりも日暮里駅のほうが吉原に近い。

雨はシトシトと降り続いていた。

「これから、どこにいくの?」
「ウチに帰る」
「途中まで一緒に行こう」
「うん」

2人で電車に乗る。
秋葉原で乗り換える。

「オレこっちだから。何かあれば電話して」
「うん、わかった」
「それじゃ」
「じゃあね」

彼女とお茶でもしようかと思った。
が、お気に入りの革手袋を出がけに忘れていて、手がかじかんでいたのが、やる気を少し削いでいた。

それに、あさってからちゃんと出勤するだろうから、そんなフォローをしなくてもいいだろう、と帰ることにしたのだった。

しかし彼女は、まだなにか言いたそうな気がした。

– 2001.12.20 up –