内田香織、22歳、体に自信があると脱ぐんだなとわかった気がした


腕や手首をつかむのは迷惑条例違反

新宿駅東口
新宿駅東口交番の上あたり

JR新宿駅東口交番前。
昨日の夜に、スカウト通りで声をかけた女の子と待ち合わせをしていた。

時計を見ると13時5分前。
それと同時に携帯から着信音が。

「10分ほど遅れます」とのこと。
よかったぁ・・・とため息が出た。

昨日は、昼過ぎから全く女のコの足が止まらなかった。
足が止まったとしても『AV』や『風俗』を口にした途端に立ち去られてしまう。

今の季節、薄暗くなるのが早い。
なにも収穫がないまま夜になった。

スカウトしている最中は、立ち通し歩き通しだ。
だから足腰は強い。

当然の話だが、10人中9人は無視と冷たい目で相手にされない。

そして、必ず独りでスカウトする。
連れがいると、おしゃべりで集中力がそがれる。

全く孤独な仕事になる。
寒いしもう帰ろうかな、と思い時計を見ると21時30分。

80人以上は声をかけている。
これはという手ごたえがある女のコもいなかった。
そんなことを考えながら、足は止まらない。

白いコートのコが歩いてきた。
1歩踏み出して、手の平を軽くあげる。

「ちょーといい?」
「・・・いいです」

あれ、この感じ。
足止まるぞ。

「話しだけでいいから」
「・・・いいです」

とりあえず言ったような断り文句には、気がこもってない。
こちらに向いた目は警戒してない。

「ちょっと待った、5秒でいいから」
「エッ・・・」

軽く腕をつかんだ。
腕や手首をつかむのはここぞ、という場合だけにしている。

街頭での強引な勧誘が問題になりはじめていて、通行人の腕を掴んだキャッチが迷惑条例違反で逮捕されたとニュースになっていた。

しかし、このコの時は、自然に腕をとってしまった。

地味でもAVだったら清純に見えていい

彼女は立ち止まった。

足を止めたコは必ず話しは聞く。
「こっちで話そう」と道路脇に移動する。

もうとっくに5秒は過ぎているし、彼女は戸惑った表情だけど、やはり警戒はしていない。

「寒いね」
「・・・」
「突然ごめんね」
「・・・」
「それでね、仕事手伝ってよ」
「どんな仕事ですか?」
「今学生?」
「ハイ」
「エッチ系だけど、どうだろう抵抗ある?」
「・・・」

彼女は真面目な学生と一目で分かる。
化粧気もない。

いまどき珍しい綺麗な黒髪をしてる。
このタイプはAVを押す方向に持っていきたい。

エッチ系が抵抗あるとしたらキャバクラだが、地味過ぎて面接は通らないだろう。

仮になんとか入店したとしても、店で映えないコだと、本人が気持ち的につらく続かない。

逆にAVは地味でも清純ぽくて受けはいい。
それに学生は時間を守る人間が多い。
生活リズムが決まっているので、予定を立てやすい。

「名前なんていうの?」
「内田です」
「下の名前は?」
「・・・かおり」
「アッ、かおりって言う感じ、じゃあ、かおりって呼ばせてもらうよ」
「フフ・・・」

この素直なコはアタリかな、と思った。

新宿のこの場所でバイトの話しを出して、『マクドナルドだけど』なんてほうが不自然になる。

表情に拒否反応と、口から『いいです』という言葉が出てこない。

突っ込んで話しても大丈夫だ。

「あのね、新宿駅から10分のところに○○プロモーションって言う会社があるんだけど」
「はい・・・」
「社長32歳で若くてね、マネージャーも皆20代前半で若いスタッフでやっていてね」
「・・・」
「どうだろう、1度話だけでも聞いてほしいんだけど」
「・・・」
「突然のことだし、別に今すぐとかいうわけじゃないから」
「はあ・・・」

AVとは1回も口からは出してはないけど、もう彼女はそれだとわかっている様子。
今までに、他のスカウトから話を聞いたことがあるのだ。

「所属名決めてプロフィール作成してね、それからメーカーの担当の人とギャラいくらで撮らせてください、と言う打ち合わせしてからの仕事になるからね」
「・・・」
「その時にギャラと内容によって、かおりがやりたくなければ断ってもらってもそれはそれで全然かまわないから」
「・・・」
「なにがなんでもお願いします、と言うわけじゃないからね」
「・・・」

おとなしいコだ。
いいのか、わるいのか。

やる気あるのか、ないのか。
こっちの勢いで聞いているだけなのか。

うーん。
つかめない。

「AVって見たことある?」
「エッ・・・」
「カレシなんかと良く見るでしょ」
「エッ・・・」
「いや、変なことばかり言ってごめんね、オレもね、頼まれてやっているから、つらいんだよね、でもね、普段はちゃんとしている人だから、近所周りとかね、あいさつもちゃんとするしね、寒いですね、とかね」
「フフ・・・」

引くわけでもない。
かといってノリがいいわけではない。

ひょっとして『実はもう所属しています』というオチなのか。

「かおりがカワイイからさ、オレもつい一生懸命になっちゃうんだよね」
「そんなこと・・・」
「いやいや、雰囲気的にカワイイよ」
「そんなことないですよ」
「いや、もっと自信持たないとダメ!もったいない!」

このコは興味はあるな、と話しながら感じる。
その後、仕事の流れとか、実例を挙げたりしてAV事務所の説明をする。

真面目なコにはちゃんと説明したほうがいい。
理詰めの説明のほうが効果的な場合もある。

このコの場合ギャラはあまり触れなくて大丈夫。
真面目なコの場合計画的にお金を使うのでなければないでやりくりする。

それに彼女はお金よりも、少しAVに興味があるように感じた。
好奇心ともいうのか。

一通り話も終わる。
空いてる時間を聞くと、明日は空いてると言う。

明日13時にこの場所でと約束して、番号の交換をした。
彼女は京王線に自分はJR線に向かう。

ここ最近で一番寒い。
昨日も収穫無かったし、今日も収穫無かったら寒々としただろうな、と思いながらうちに帰った。

明日彼女が来る確率は半分以下だろう。
後日という約束はあてにはしていない。

もう、お祈りするしかない。

最初からは見た目では判断できない

彼女の電話から15分ほど経つ。

13時10分過ぎ。
「すみませーん」と彼女はきた。

昨日のお祈りが通じらしい。
彼女の今日の表情は明るい。

警戒心が解けたのか。
昼間に見る彼女の顔立ちは、目鼻は整っていてほっそりしてる。

女らしさというのか色気はあまりかんじないが、カワイイ雰囲気はある。

昨晩とのイメージとのギャップに正直ビックリした。
歩いて●●●●プロモーションに向かう。

年確(年齢確認)の運転免許証も忘れずに持ってきている。
所属名も考えてきたらしい。

聞いてみるとそれもカワイイ名前だった。
彼女はやる気だ。

大学では理系の勉強をしていると言う。
話し方から頭がよさそうな感じがする。

●●●●プロモーションがあるビルは5階建ての雑居ビルの、3階部分にある。

社長はオカマっぽい。
マネージャーが挨拶をする。

彼女も雰囲気を見て安心したようだ。
すんなりと、所属の登録用紙に必要事項を記入した。

それからメイクして宣材撮り。
彼女には宣材の写真はヌードで撮る、とは昨日説明してある。

隣の部屋には、ストロボ、ライト、バックシートがセッティングされている。

社長がカメラを持った。

「じゃあ服はここにおいて、フィルム1本くらいとるからね」
「はい・・・」

自分は脇でさりげなく見ている。
シャツ、スリムパンツ、ブラと彼女は脱いだ。

スベスベの白い肌に赤の下着だった。
ブラをはずした瞬間『なに!』と思う。

形のいいEカップ。
乳首がピンクで若干上を向いている。

美乳だ。
服の上からでは全く気がつかなかった。

細い体とアンバランスなほどオッパイがでかい。
健康的なウェストのラインも合わせると、妙に体つきがエッチだ。

自分は仕事柄、生オッパイが2つ3つあったところでチンコは立たない。

しかし彼女の体つきは、その晩に想いだしオナニーにふけったほど、目に焼きついた。

思い起こせば、スカウトをはじめたころは、女のコの裸を見るたびにチンコが立ってしょうがなかった。

そのうちやはり目が肥えたというのだろうか、バランスが気になりだした。

肩口から太ももにかけて曲線のラインが見事だと、興奮を覚える。

下品な言い方をするとむしゃぶりつきたくなる。
実際、彼女にむしゃぶりつきたかった。

スカウトがうまくできたときはすんなりが多い

社長も意外だったのだろう、「寒いかなー」と、平静を装いながらも一瞬「アレッ」という顔をした。

彼女は写真のポーズは固い。
表情も固かった。

はじめは皆そうだからしょうがない。
しかし、そのうちにニコッとする笑顔が可愛らしくなってきた。

昨晩に声かけたときのイメージとだいぶ感じが違ってきた。
彼女は売れるタイプだ。

ここの事務所のスカウトバックは、総ギャラの20%。
社長もマネージャーもしっかりしているので、任せておいて問題はない。

しっかり、女のコの予定を入れてくれる。
彼女とは新宿駅まで一緒に戻った。

宣材撮影まで終われば、ほとんどの女のコはキチンとAVに向き合うものだったので、なにも心配がなかった。

「AVやると女のコってみんなきれいになるんだよな」
「そうですか」
「うん、女のコって、急にググッときれいになるでしょ。たぶん、これからそうなる」
「なりますかね」

そんな話しをしながら駅に行き、そこで別れた。

2ヶ月してから、彼女のスカウトバックは入った。
高額で驚いた。

メーカーと単体契約ができて、初撮りも終わり、このあと3セット予定が入っているという。

スカウトがうまくできたときは、すんなりといくことが多いもの。
彼女のことはよくわからないまま。

社長から聞いたのは「スカウトされたときはうれしかった」と彼女は話したという。

わかったことは、身体に自信がある女のコが脱ぐんだなということ。

あとは『AV』とか『風俗』と最初からは言いにくいものだけど、スカウト通りでははっきり口に出したほうがいいということだった。

– 2002.2.20 up –