風俗店の講習での実技と射精


名刺がないのは接客感ではなくてイチャイチャ感のため

店舗型から受付型になって変ったシステムのひとつに、客の呼び名がある。

団体客が増えたので、部屋番号の入れ違いだけはないようにしなければならない。

Aさんは1番室、Bさんは2番室、といったように必要があって名前を聞いていたのだが、風俗店で名前を明かすのを躊躇してしまう客も多い。

「偽名でも仮名でもいいので」となって「あだ名でもなんでも」と訊くようになっていく中で、以外なことに「女の子がそう呼びますので」と一言添えると、名前を明かすのを躊躇していた客でも “ くん ” 付けや “ ちゃん ” 付けだったり、あだ名だったり呼び捨てだったりを指定したりするものだった。

女の子のほうも最初から呼び名があると、客のヨミが事前に少しでもできて、店がいうイチャイチャ感をやりやすい様子だった。

「ノゾミ、やりながら聞いて」
「はい」
「この店では、相手をお客さんって呼ぶのは禁句ね。呼び名を伝えるからそれで呼んで」
「はい」
「ありがとうございましたも、おまたせしましたも禁句。それは男子従業員がいう言葉だから」
「はい」
「女の子の名刺も、またきてくださいっていう営業にならないように持たせてない」
「はい」
「名刺がなくても、よければお客さんはまたくるから」
「はい」
「相手はお客さんなんだけど、女の子は接客調や営業調でなくて、イチャイチャ感で接して」
「はい」
「マニュアルなんかないから。さっきいったヨミね。ひとりひとり相手を読んで接して」
「はい」

脱衣して、シャワーを浴びている最中だった。
イソジンとグリンスの使い方と、性病の注意を教えたあとだった。

ノゾミはボディーソープで勃起を洗いながら返事をしている。
返事はどこか接客調だった。

「こっちのタマのほうも洗って」
「はい」
「うん・・・。お尻のほうも洗おうか」
「はい」
「その、はいってのもやめよう」
「はい・・・」

返事は “ はい ” と “ あい ” の中間になって、少しばかり声色が変った。

脱衣したときほどの照れはなくなっている。
うつむくばかりだ。

「じゃ、オレのこと、ケンイチって呼んでみようか」
「はい・・・」
「・・・」
「・・・」
「どうした?」
「なんか・・・」
「・・・」
「はずかしい・・・」

心に染みるようなつぶやき。
これを言わせたかっただけだけかもしれない。

いかん。
羞恥プレイをしてる場合ではない。

「ノゾミさ」
「はい・・・」
「さっきさ、はずかしいも禁句にしたでしょ?」
「はい・・・」

脱衣のときに「はずかしい・・・」を連呼してモジモジするばかりだったので、それを今だけは禁句にしたのだった。

お客さんだったら大丈夫です、店長だとはずかしいんです、とは言っていた。

なんとなく気持ちはわかるが、わからないふりをして、さんざんと叱声も交えて、ノゾミを全裸にしたのだった。

下着もいけない。
上下白で、それぞれに小さなピンクのリボンなどついていている。

なんといってもパンティーなどはフルバックで、サテンのきらめきを跳ね回らせていて、興奮を隠すために叱声も飛ばしてしまった。

ついでに、こんなにも勃起させたのはモジモジのせいだとも言い放って、理不尽ながらもノゾミは小さく謝ってもいた。

が、そもそも勃起とは理不尽に女の子に向けられるものである。

「だいじょうぶかなぁ・・・」
「はい・・・」
「できるのか?」
「はい・・・」

心配はしてない。
羞恥プレイを感ずかれないように、講習の体裁をおごそかに強調しただけだった。

いざ客を前にしたら、このあたりのイチャイチャ感は女の子は誰でもうまいことできる。

誰からも教わったのでもなく、練習したのでもないのに、いざとなったらすんなりとそれなりにできてしまう。

講習でキスはどこまでやるのか?

シャワーを出てからは、バスタオルで背中をぽんぽんとしたノゾミは、それを腰巻にした。

タオル使いが上手なのはポイント高いというのも、全裸を恥ずかしがる男もいるのでフリチンのまま少しでも放置しない、とも教えていた。

指示の口調だったのは、やはり講習を取り繕っていたからだった。

「まずはキスから」
「はい・・・」
「キスは基本だから」
「はい・・・」
「女の子からね。積極的に。嫌がる男はいないから」
「はい・・・」

うつむいて黙ったままのノゾミは、どうしよう・・・と言っている。

いつまでもそうしていそうなので、引き寄せようと肩に手を伸ばすと、びくっとして身を縮めた。

「なに、逃げてんの?」
「・・・」

かまわず引き寄せて、とととっと前のめりの体を抱きこんで、顎に手を当てて軽く首をひねってキスをした。

彼氏がいるとだけは訊いてはいたが、キスには戸惑いはなく、我慢している様子もない。
すぐに肩に手を回してきて、舌先を合わせてきた。

抱きつきかたがいい。
お互いに抱き合って、しばらく舌先をくるくるさせ続けてから唇を離した。

「そしたら前戯して」
「え・・・、わかんない・・・」
「全身リップやってみよう」
「ウン・・・」
「女の子のほうからベッドに寝かせてあげて」
「ウン・・・、こう・・・?」
「上になって・・・」
「ウン・・・」

もうノゾミは、かしこまった返事はない。
自分をベッドに寝かせてからは、もうバスタオルの腰巻は解かれて、上にもたれかかるようにしてきた。

全身リップの上手なやり方

教える通りに、耳を唇でねぶってきた。
耳の溝を舌先でほじり、耳穴にも舌先を捻り込む。

「ああ、いい・・・」
「ン・・・」
「ああ、それ・・・、チュッチュッて音も出して」
「ン・・・」

チュッチュパッチュッチュゥッチュッチュパッッ・・・

「あああ、いい・・・」
「ン・・・」
「もっと・・・、たくさんやってみて・・・」
「ン・・・」

ちょっとだけ講習しようが、たくさん講習しようが、するには変わりがない。
ハードな講習をしようが、ソフトな講習をしようが、トビになるときはトビになる。

だったらしっかりやったほうがいい。
早番希望のノゾミには、なおさら講習はしっかりしたほうがいい。

でないと受付で推しきれない。
どうせノゾミだって、後になれば講習などなかったかのような態度をするのだ。

「首筋のほうもやって・・・」
「ン・・・」
「ああ・・・」
「ン・・・」
「いい・・・」
「ン・・・」

自分がオーバーに感度をさらけ出していくと、ノゾミも少しずつ恥ずかしさを解消していくようだった。

笑んでいるのか、薄く閉じた目は半円。
舌先は乳首をなぞってきた。
唇のタッチ加減はやさしい。

「おおお・・・」
「いいの・・・?」
「あぁ・・・、オレ、乳首、よわいの・・・」
「・・・」

乳首舐めに唸って耐えていると、ノゾミは大きく息をついた。
薄目がさらに薄くなって、さらに責めるように舌先をなぞらせてきた。

男を喜ばせようとするサービス精神はある。

チュパチュチュルゥゥチュルチュゥチュルゥ・・・

乳首はさんざんに転がされた。
脇の下も舐めてから、指フェラをさせた。
両手で指を取ってからは、口に含んで舌を這わせてきた。

「こっち見ながらやって、そのフニッとした目のままで」
「ウン・・・」
「こっち見ながら、音も出して」
「ウン・・・」
「男を目と耳で興奮させて」
「ウン・・・」

指舐めをしてからは、脇腹からヘソへリップ。
さらに下にいって、太ももから内ももへ。

背中もリップさせた。
唇と舌先で、背筋からお尻をなぞって、太ももの裏へ。
こんなにも舐め続ける女の子は、フェラもしっかりこなす。

やはりフェラは男が教えないとだ

フェラはあまりしたことがないです、とシャワーのとき聞いた。
口ごもっていた。

あまりとは何回かと訊くと、あまりというより1回もしたことがないです、と明かしたノゾミだった。

ふくらはぎまでの全身リップのあとは、あおむけになった。

「ノゾミ」
「ン・・・」
「フェラして」
「ン・・・」

1回もしたことがないといっても、全身リップや指フェラの様子からだと意外と上手なのでは・・・と勃起が身構えている。

緊張気味の勃起を手に取ったノゾミは、ぎゅっと握って、いきなりパクっとくわえた。

ガシガシと、やみくもにガシガシと、手と口を上下に動かす。

「ノゾミ、ストップ」
「・・・」
「いい、いきなりパクってのもガシガシもなし。イクものもイカなくなる」
「・・・」
「さっき、リップしたでしょ?」
「ウン・・・」
「その流れで、まずはまわりから攻めて、焦らすの」
「ウン・・・」
「ここの裏筋に縫い目があるでしょ?」
「ある・・・」
「縫い目に沿って唇を押し付けて、ハーモニカみたいにやって」
「ウン・・・」

小さく喉元で返事をしたノゾミは教える通りに勃起を手に取り、裏筋にチロチロと舌を這わせた。
ぎこちなさが程よく気持ちいい。

「うん・・・、そう・・・、そう・・・、上まで行って」
「ン・・・」
「そしたら下までいって」
「ン・・・」
「あ、そこで止めて、そこ感じるところだから、そこ、舌でチロチロってして・・・」
「ン・・・」
「あ、角度、ここでキープして、これ以上は立てないで」
「ン・・・」
「指先でタマをサワサワって・・・、ゆっくり、もっとゆっくり・・・、やさしく、焦らすように」
「ン・・・」

ノゾミは黒目が大きい。
チロチロと見せる舌も小さい。

風俗店の講習
先っぽフェラをするノゾミの黒目が可愛らしい

小鹿だ。
小鹿が舐めているような可愛らしさがある。
いつだったか、テレビの動物番組で見て飛び上がるほどに可愛かった無邪気な子鹿みたい。

「ノゾミ、男の方に視線を向けてみ」
「ン・・・」
「そう、目を合わせながら、フェラしてみ」
「ン・・・」
「うん、いい、なめる音もだしてみて・・・、もっとして・・・」
「ン・・・」

髪は長く胸元まである。
フェラをするのには髪止めのゴムで結わえたほうがやりやすいのだが、あえて使わせてない。

髪をかき上げながらのフェラをさせたかった。

「男って見てるから、フェラしてるところ、ずっと」
「ン・・・」
「フェラ顔は見せてあげて」
「ン・・・」
「目を合わせて、ニコッてしてみて・・・、ああ・・・、いい・・・、その先っぽしながらがいい・・・」
「ン・・・」
「目で興奮させて。イキやすくなるから」
「ン・・・」

返事の代わりなのか、ノゾミは勃起を口に含んだまま熱のこもった息を吐いた。
温感が勃起を包んだ。

「ああ・・・、つづけて・・・、いい・・・」
「ン・・・」
「タマも、タマ、ほぐすように・・・、やさしく・・・」
「ン・・・」
「ああ・・・、よくなってきた・・・、あ、その、ゆるくやるのもいい・・・」
「ン・・・」
「ああ、その音・・・、遠慮なくだして・・・」
「ン・・・」

耳にかけた髪が落ちてくると乱暴にかき上げて、それでもニコッと笑んだ目を合わせてきて、先端にフェラを施している。

自分が呻くと、勃起は音にまみれて奥まで咥えられた。
健気にも見えるし、フェラの上達を楽しんでいるようにも見えた。

忘れられない射精感

大の字の自分は目をつぶって呻くだけで、ノゾミの喉元の返事も途切れて、10分以上のフェラがあった。

お互いに別のことを考えていたかもしれない。
少なくとも自分は別のことを考えていた。

ノゾミという名前と繋がっている射精感が込み上げてくるのを感じる。
忘れられない射精感ってあるのだった。

「あぁ、ノゾミ・・・」
「・・・」
「あぁ・・・、それ、いい・・・」
「・・・」

忘れられない射精感とは記憶ではない。
頭に残っているのではない。

年月が経てば乾燥して細かく散っていく記憶ではなくて、ますます生々しくなって重量を帯びて固くなってきている。

固まりは、記憶とは異なる場所に保管されるとすれば、股間の奥あたりにある。
その固まりが、あのときの射精を欲してきている。

もう1度、あのときの射精をしたいと欲している固まりを力づくで封じ込めようとして、このノゾミにイカされたい、このノゾミで出したいと呻っていた。

おそらく言っていることは、性犯罪者の範疇にあると思われる。
だとすれば、性犯罪者は治らないという社会の指弾は本当だ。

1度でも射精感が忘れることなく固まってしまうと、もう自身で消すことができない。

ジュルッ、ジュチュルッ・・・
ジュルゥッ・・・、ジュルッ・・・

ノゾミという名前と繋がっているあのときの射精感とは、小沢のぞみを入れ込んだ無修正動画の面接ダマシ撮りの現場でのこと。

スタジオの30名ほどの素人男優の一群は、全裸となっていて、ほとんどが無言のまま勃起しごいていて、のぞみを取り囲んでいた。

面接の途中で、怒声を浴びて全裸となったのぞみには、小突かれるようにして顔射もされていて、手荒く中出しもされていた。

やってることの割には殺伐としてなかったのは、ほとんどの素人男優は笑みを浮かべていたからだった。

それに、全裸だから身なりはないにしても、結婚指輪が光る者もいたり、官僚みたいな眼鏡の者もいたりして、全体の風体は粗暴ではなく、お互いに気を使う素振りあったからだった。

30名余の大人の男の全員が、19歳の女の子1人だけには容赦なく、全力で射精に向かっていく。

連続して生中出しされてからは脱力して、ソファーから手足をダランとさせていて、目の焦点が合ってない無表情のまま天井を見ていたのぞみだった。

肉塊に見えた。
経緯を辿ると「彼女、ほんとに潰しちゃってもいいの?」と確かめがあって「今日は刺しだよ」と撮影の内容が伝えられていたから、静かで熱気がある肉林の中だったから、それが肉塊に見えたのは突飛ではない。[編者註80-1]

「ああぁ・・・、いい・・・」
「・・・」
「そう・・・、ノゾミ・・・」
「・・・」

スタジオに着いてからは制作側からギャラの受け渡しがあって、自分に割られて手の平に乗った現金は25万。

ハイ!25マンゲット!ウキャキャキャッ…となるほど軽快な自分ではなかった。

のぞみを未経験から風俗に入れ込んだのは自分でもあるし、可愛らしさも感じていたときもあるし、AVといえども1人の女の子を潰して、潰すというのがわかっていながら入れ込んで、もちろん自分だって良心の呵責というのは多少はあるから、それで25万とはいかにも安い気がしたが、こんなものか・・・と財布をぱたんっと閉じた。

人体とは、ほとんどが水と炭水化物でできている。
元素だかでいうと、酸素とか炭素とか窒素などで出来ている。

それらの物質を金額に換算すると2万足らず、となんとかいう学者が算出していた。

人間の原価は、いや、のぞみの原価はたかだか2万。
それを潰すという手間をかけて、刺しにする手間もかけて25万になったのだ。

いいではないか。

こんな理由もつけたのにも自己嫌悪がこなかったのを覚えている。

スカウト3年目にもなっていた。
そんな極論を気持ちの端に置いてバランスをとって自身で納得するのは、それなりに訓練されていて早かった。

ジュッ、ジュルッ・・・
ジュゥッ・・・、ジュゥッ・・・

潰しの現場とやらの見物の気分で撮影の部屋を覗いたのだが、一気に激しく勃起させたのは、ノゾミが肉塊に見えたときの焦点が合わない目だった。

すでに小さな悲鳴もなく、もう呻くこともなく、無表情のまま焦点が合わない目で天井を見つめていた。

えらく黒目だった。
次々と刺される黒目ののぞみの姿を眺めて、撮影には関係なくオナニーを繰り返してばかりの素人男優も10名ほどいた。

自分もその1人に交じっていた。
1回目はぶっかけて、2回目は刺したのだったが、3回目からは刺され続けるのぞみの姿でオナニーを繰り返した。

興奮をしたとか、気持ちいいとか、感じたという射精ではない。
小さな爆発があったかの射精。

ドクドクと大量に精液があふれ出た感覚。
何回も射精しても勃起は治まらずに、何度でもできた射精。

「ノゾミ・・・、いい・・・」
「・・・」
「あぁぁ・・・、もっと・・・」
「・・・」

黒目か。
あの黒目だったのか。

そのときは不思議でしかなかったが、射精感が固まった今では、その黒目が射精を求めさせたのがわかる。

野生の小鹿が捕食される寸前に見せるに似た深い黒目。
それ以上をあきらめた潤った黒目。

かわいそうとか助けたいというよりも、とどめと差したいという気持ちがあった。

残酷な気持ちではない。
やましさもない。

早く楽にさせてあげたいという、やさしい気持ちが悠然と湧いてきていて、射精に変質していた。

ジュッ、ジュッ・・・
ジュルッ・・・、ジュッ・・・

撮影が終わってからの深夜は、のぞみがフェンスにもたれて泣く姿を、ただ眺めていた自分だった。

「もう、わたし・・・」などど何度も口にしていたが、そのあとは聞こうともしなかった。

もしかすると『死にたい・・・』だったかもしれないし、それも妥当だった。

ただ不思議だった。
そんな状況でも、どうして勃起が収まらないのか、ただ不思議だった。

満月だったし、満月の夜は殺人が多いのは知っていたので、満月のせいにもしてみたと日記にはある。

さきほど、言っていることは性犯罪者の範疇にあると思われるとも書いてあったが、日記を読み返している自分は追記する。

殺人者の範疇にもある。
殺人者は射精する。

殺人事件の犯人は、最中でも事後でも気持ちが昂ぶってちょいちょい射精をしている。

そんなの1部の快楽殺人者だというのは、自分にとっては問題ではない。
射精できたのか、射精できなかったのかが行為を決める。

「ああああ、ノゾミ・・・」
「・・・」
「よくなってきた・・・」
「・・・」

よくなってきたのは、自分の中のことだった。

黒目だったんだ・・・と不思議さの元がわかると、あのときの射精感を力ずくで封じ込めようと呻る代わりに新鮮さが生まれてきて、勃起の質も変ったかのように大きくひくついた。

目を開けた。
ノゾミのフェラ顔を目に入れた。

「ノゾミ」
「・・・」
「イキたい・・・」
「ン・・・」
「イキたがっているのわかる?」
「ウン・・・、わかる・・・」

ノゾミは勃起から口を離して返事をした。
お互いに別のことを考えていたかのような時間は中断された。

前戯で焦らして優しく攻めれば射精に至る

勃起が奮えている。
このままフェラで1回、素股でもう1回、射精できる奮えを示している。

「ノゾミ」
「ン・・・」
「そしたらイカせてみようか?」
「ンン・・・」
「ここ、カリっていうんだけど、裏側あるでしょ?」
「ここ・・・?」
「うん、そこ。で、この余っている皮を下に引っ張って、カリ裏をむき出しにして」
「こう・・・?」
「ちょっと引っ張りすぎ、つっぱっちゃう、5ミリぐらいにして」
「このくらい・・・?」
「うん。そしたら、このカリ裏をなぞってみ、舌で、ゆっくりと」
「こう・・・?」

指先を舌先に代えて、剥き出しにしたカリ裏の曲線をなぞってきた。
射精に至るまでの解説もあった。

「で、棒もしごいてみ、ゆっくりと」
「こう・・・?」
「あ、ここ、ここに精液が通るから、ここは押さえないで、イキづらくなるの。こう2本指で握って」
「こう・・・?」
「そう、で、ゆっくり・・・、手首効かせて、そう、全体をもみしだくように・・・、軽く、強くやらない」
「もみしだく・・・?こう・・・?」
「そう・・・、それ。もうそれだけで男の人はイッちゃうから。激しく動かさなくても」
「そうなの・・・?」
「うん、じっくり焦らすと、もう、男もイキたくなってきて、そこをやさしくされるとすぐにイッちゃうの」
「イッちゃうの?」
「うん、イカせて」

誰が決めたのか知らないけど、風俗店の講習では射精はしないという不文律がある。

それをノゾミが知ってるか知らないかはわからないが、もちろん拒否もできるのだが、言うがままに勃起は口に含まれた。

お互いに射精に向けた呼吸になった。

「もっとして・・・」
「ン・・・」
「ノゾミ・・・」
「ン・・・」
「あぁぁ・・・、もうガマンできない、イク・・・」
「ンンッ・・・」

フェラでイカせた経験なくても、射精の兆しはわかるようだ。
勃起を口に含んだままの返事には、驚きが含まれていた。

「いっちゃう、お口で受けて」
「ンンンッ」
「ああ!ノゾミ!イクよ!イク!」
「ンンンンッ」

ノゾミが息を飲むのと同時に、ビクンと勃起が大きく震えて精液が飛び散った。
次にピクピクと脈動して、小さな射精が続いた。

目を閉じたノゾミは「ンッンッンッ」と飛び散りに合わせて何度も呻いて全てを受け止めて、脈動が治まると「ンンン・・・」と鼻で呼吸を抜いた。

ほのかな達成感がある。
射精のあとの気だるさは全くこなかった。

シックスナインは最強のプレイ

お掃除フェラを教えたあとに唐突に「じゃ、シックスナインしよう」と告げてみた。

講習でシックスナインまでするとは思ってなかったのか、少しの戸惑いを見せたノゾミだったが、たちまち自分は「お客さんもしたがるよ」と名代の立場となった。

黙ったままでいると、白いお尻を向けてきて跨ってきた。
四つん這いとなったお尻の割れ目が広がりかけると、腰が引けてきて、尻肉に力を入れている。

アナルが曝け出されるのを隠そうとしている。
やはり、アナルを見られるのは恥ずかしいのか。

だいたいにして、シックスナインを嫌がる女の子は、アナルを見られたくないだけという自分統計がある。

どうして女の子はマンコはよくてもアナルは恥ずかしがるのだろう・・・と頭のどこかでつぶやいて、すこーんとデリカシーを吹っ飛ばすのも、シックスナインの気持ちよさのひとつ。

「ノゾミ」
「・・・」
「はずかしくない!おもいっきりやって!」
「・・・」
「はずかしくない!お客さんにもやってあげて!」
「ン・・・」

たちまち自分は、お客さんの名代を振りかざす。
叱声のあと、両手で腰骨をつかんで引き寄せた。

突き出されたお尻の割れ目から、形良く締まったアナルが晒されると、抵抗が溶けたため息が「ウゥゥ・・・」と抜けていって背と腰が反らされた。

丸いお尻は少し汗ばんでいて、曲面は手の平に張り付いてくる。

フェラをするように指示の口調で求めると、勃起は温感に包まれた。
股間はツヤツヤの陰毛に囲まれている。

まずは陰毛にこもっているしめやかな匂いを嗅ぎながら、尻肉を鷲つかみで揉んだ。

肩手を伸ばしておっぱいを手の平にのせて、内腿を唇でつまんで、それぞれの弾力を確かめた。

陰唇は半開き。
色の沈殿は淡くて、ヌメヌメと湿ったピンク色の粘膜が見え隠れしている。

クリトリスは小粒。
皮の上から指先でくるくるすると、お尻が跳ね上がった。

お腹が力んで凹んで、フェラが止まって、控えめな喘ぎ声が漏れてきて、太腿が掴まれて爪先が立った。
ノゾミの敏感さは、無残に咎められた。

「どうしたの?」
「ンンン・・・」
「お客さんも、ここいじるよ」
「ンンン・・・」
「そんなにも感じていて、フェラできるの?」
「ンンン・・・」

クリトリスをこねくり回してからは、肉襞を左右に広げて、ヌメヌメした粘膜を舌先でなぞってみた。

膣口からは、透明な粘液がぷっくりと染み出してきていた。
すくわれた粘液には、少し酸味がある。

梨の芯を少しかじったときの後味みたい。
少しの洗い残しが、旺盛な分泌と絡まっているのか。

ノゾミの酸味、ノゾミの汁・・・、とつぶやいて目を細めた。
そのとき、カリ裏の曲線をノゾミの舌先が上手になぞった。

頭と股間を繋ぐ緩みきっていた神経に、微電流が流れた。
ノゾミは微電流を感じとったのか、喉元で「ン・・・」となにかを言ってから舌先がチロチロと細かく動いた。

イカせようとしている動きだった。
このままだとイカされそうだが、男の習性としては、つい我慢をしてしまう。

射精感が込み上げてくる前に、早めに気を散らしてコントロールをしなければ。
目をギュッと閉じて別のことを考えた。

なにか別のことを・・・。
突飛もない別のことを・・・。

ノゾミは・・・、実家は船橋市。
船橋市は梨の産地。

そうか。
自分は今。
味覚チェックをしているんだ。
出荷された梨の品評をしてるんだ。

これは梨だったのか。
21世紀梨ならぬ、20歳梨、船橋産。
みずみずしい新鮮なまん丸の硬い果肉。

汁がたっぷり溢れている。
芯にはちょっぴり酸味がある。

気持ちよくなどない、品評なんだ、厳然たる品評なんだ、気持ちよくなどない、梨なんだ、女の汁ではない、気持ちよくない。

目をぎゅっと閉じたままつぶやくと射精感は遠のいた。
確認のため、尻肉を揉んでみた。

次いで、アナル鑑賞をしてみても、陰毛の匂いを嗅いでみても、汁をすすってみても、異常なし。

コントロール成功。
大きく息を吐いた。

そのとき、フェラを続けていたノゾミの髪の先が、内ももをサワサワと撫でた。

途端に金玉の裏がざわついて、そこを指先で撫でられた。

油断した。
遠のいていたはずの射精感が一気に近づいてきた。
もう間に合わない。

方針変更だ。
もっとノゾミで射精したい。

このままシックスナインで1回、あと素股で1回だ。
ノゾミだったら、それくらいできる。

「あぁ、ノゾミ・・・」
「ンンッ」
「またいっちゃう・・・」
「ンンッ」
「イクよ!ああぁぁ、イク!」
「ンンンンッ」

四つん這いのお尻を下から抱えた。
股間に顔を押し付けて、陰唇に鼻先を埋めて、陰毛の中にノゾミ・・・とつぶやいた。

さらにノゾミ・・・とつぶやいた。
固まってしまったあのときの射精感は、良かろうが悪かろうが自身でどうすることもできずに残りつづける。

封じ込めなどせずに、次々と多くの射精をしながら付き合っていくしか方法がないのかもしれない。

– 2023.07.13 up –