4年目になるとスカウトの方法に迷いがなくなったのはいいが、もっと稼ごうという意気込みも乏しくなってきて日常は惰性になっている。わからないからできたのであって、わかるとできなくなるのは、自分の性格もあると思われる。スカウトなど、日雇いの土方と同じだった。いくらでも休めるし、休めば収入にならない。やる気などなくても確実に収入にありつけるだけ、日雇いの土方のほうが気が楽かもしれなかった。気分が沈んでいても、明るくやり続けないと収入にならないのがスカウトだった。
川原沙織、21歳、スカウト通りで声をかけてAVプロダクションに
夕方のスカウト通りで声をかけて「AVだけど」と切り出すと驚いた目をした彼女だった。断りは全力ではない。その日のうちに新宿南口のAVプロダクションの面接に向かった。だから2時間ほど顔を合わせただけ。どうしてAV嬢となったのかはよく知らない。
宮本千尋、23歳の保育士、アルタ前で声かけて歌舞伎町のヘルスの面接に
アルタ前広場で声をかけて強引に手首を掴んで足を止めた彼女だった。「バレたらちょっと」などといっている。仕事は保育士。AV率や風俗率が高い説がある保育士だったが、どういうことか今までにスカウトしたのは3人しかいなかった。
お金が必要でなくてもAVをやる女性の特徴
風俗はやらないけど、AVだったらやるって女のコもいる。知性もあり学力も学歴もある女のコでもAVをやる。ちゃんとして職業を持って、そつなく社会生活をしてる女のコでもAVをやる。これらのアンバランスさが不思議なままスカウトしていた。
青木ちえみ、24歳、会社員からSMクラブ、新宿駅東口でスカウトして
新宿駅東口で声をかけた彼女と久しぶりに会う。歌舞伎町交差点のマリオンクレープを食べていると、彼女は会社を辞めて風俗をしてると明かしてきた。SMクラブでM嬢をしてるという。仲良くなりすぎるとスカウトは失敗するのだった。
森さゆり、27歳、営業職、スカウト通りで声をかけて
スカウト通りで声をかけた彼女は目尻の小じわがある年頃。AVは断りだが、裸には自信を持っているのは見逃せない。表情が微かに揺れたのは「かわいいね」という言葉だった。「かわいい」に反応する女性は受け身な態度がどことなしにある。
三沢美香、20歳、スタイリストの学生、スカウト通りで声をかけて
スカウト通りで声をかけた彼女。AVを切り出すると警戒も好奇心も抵抗感も見せてきた。ギャラはいくらかの問いは出てこない。言い訳は必要としてないようだ。AVがバレたら彼氏に怒られるとうなずく。答える表情からは彼氏への疑問が感じられた。
小林真紀、25歳、ソフト開発メーカー勤め、新宿駅東口でスカウトして
褒めには小さな満足が生じるようで、後々になってAVの話など聞かなくなって主導権も離れてしまう。誰も気がつかない、誰も気がついてない、誰にも言えない、そんなふうにこっそりと隠れている部分を探して褒めてみるのがスカウトのポイント。
橋本ひとみ、22歳、服飾デザイナー、スカウト通りで声をかけて
スカウト通りの夕方の歩行者の足は早い。1時間で50人以上は声をかけたが、AVを切り出す間もなく無視されて素通りされるのがほとんどだった。腕を押さえて足を止めた彼女はモデル事務所に所属していた。普段は服飾デザイナーをしているという。
スカウトを4年やってわかったこと
スカウトの方法は3つほど知っていれば結果を出せる。そのうちにひとつに生教育を受けてるかないかがある。性ではなく生きるの生教育。その部分は育ちとか学歴とか、職業だとか金持ちとか関係ない。