風俗店の摘発

逮捕状に記載されている容疑は3週間も前の日付け。その日に、営業が禁止されている区域の店舗で性的サービスを提供した、というもの。警察としては、内偵をして容疑を固めて逮捕状の請求をして逮捕の執行をしたところ、まだ営業をしていたので現行犯でも逮捕しました、という二段構えだ。女性にはお咎めなし。弱者でもあり被害者である女性を、行政が保護したスタンスなのだ。ところが女性のほうに被害者感覚がなければ、性風俗店の違法営業は比較的に軽い処罰で済む。

風俗店の摘発

風俗店の摘発で逮捕された日

歌舞伎町とはいっても違法営業の風俗店は摘発される。捜査員は私服で駆け込んできた。警察のパスケースをかざしながら、3人の捜査員が無言のままフロントに入ってきたのは最終段階。逮捕状が示されて以外に丁寧に手錠がはめられ「確保!」と時間が読み上げられた。
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逮捕と当番弁護士

逮捕されたら取調べ室へ。まずは弁解録取書を差し出される。逮捕事実に対して弁解があれば、この書類に記される。黙秘権と弁護人選任権の告知もされる。当番弁護士制度の説明も。私選でも当番でも弁護士の意を示せば、警察から弁護士会にFAXが流される。
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家宅捜査で証拠品として日記を押収された

家宅捜査は、近隣に配慮するかのように大声で話すことはなく、物音を出すこともなく、いたって静かに行なわれた。真っ先にデジカメで室内の写真を細かく撮っている。机の引き出しの中を確かめていている。室内を荒らすようなことも物品を壊すこともなく、動かした物品は元の位置に戻している。
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留置場に入るときの身体検査

取調室から階段を上がると留置場への大きな鉄扉がある。「解錠準備異常なし!解錠!」と号令がかかると、ガチャンと内側からロックが外された。入口の脇にある『身体検査室』に入ると腰縄は解かれて手錠は外された。
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警察の取り調べの初日

新宿警察署での取り調べの初日。まずは撮影室へ。鑑識係が手際よく写真を撮影していく。次は指紋採取。人差し指から親指から手の平と手刀まで。取調室では身上調書が作成される。黙秘権の説明される。書き上げられた調書に署名をして終了となる。
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48時間送検

警察は被疑者を逮捕して48時間以上の勾留をする場合は、裁判所へ10日間の勾留状の請求をする手続きが必要となる。被疑者は警察署から地検へ送られて、隣接する裁判所を回って手続きが行なわれる。このヨンパチ送検は1日がかりとなる。
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東京地検の検事

東京地方検察庁は霞ヶ関の中央合同庁舎にある。上階にある検事室は広い個室。正面の木目の机の向こうの革張りの肘掛椅子にふんぞりかえっているのが検事だ。背にした窓のブラインドからは上級な陽の光が射している。机上には開かれたファイルとキーボードとディスプレイがあるだけ。
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刑事の取り調べ

取り調べのときには刑事は挑発してくる。本当のことを話しているのか確かめるためにわざと怒らせるのだ。どうでもいい質問を繰り返したり言ってることがわからないふりをして苛立たせる。もし被疑者が大声を出したものなら入れ代わり立ち代わり罵声攻撃もある。
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警察の取り調べの体験談

役にたたないかもしれないが、警察の取調べの経験者の体験談としては、刑事からの暴力や暴言は限定されている。暴力とはいっても机の下で脛を蹴ってきたり、机を蹴り上げたりする程度。暴言も「言葉がすぎました」で済む程度。陰湿でもある
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取り調べでなにを聞かれるのか?

警察の取り調べでは、いきなり事件の供述調書は書かない。聞き取りをしてメモするところからはじまる。聞き取りは細かい。事件には関係ないようなことまで根掘り葉掘りだ。黙秘もできるのだが裁判官の心証はわるくなる。罰金刑だったら応じたほうがいいかも。
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供述調書の作成の流れ

取調室で自発的に独白をはじめた被疑者に突如として刑事が証拠を突きつける。被疑者はたちどころに「間違いありません」と神妙に認めていくという流れの供述調書となっている。なによりも信憑性を高めていくことを重視しているのだ。
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売上については嘘の供述しても裏付けはとらない

取調べは売上について。営業方法については証拠を挙げて細かく調べていたのに、売上については細かな部分はとばしている。帳簿の類は重要視してないし、税金の無申告を咎められることが一切ない。売上が少ないとの指摘もない。お金の流れのほうを重視している。
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経費についての供述

経費についての供述は本当の数字を挙げた。売上は半分ほどに嘘の供述をしているから収支はトントンか若干の赤字。支払いを済ますと生活費しか手元に残らなかった、風俗店などぜんぜん儲かりません、という供述である。
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どういう人がどんなときに逮捕されるのか?

警察は電話の発信履歴を重視する。容疑者への着信はほとんど無視するが発信は見逃さない。明らかな嘘の証言であっても逮捕のためには真偽は問われない。2人以上の証言か供述があれば、重要参考人から容疑者となるようだった。そうして別件逮捕されたのが前回だった。
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警察は人的な繋がりを取り調べる

新宿警察署での取調べ6日目は人的な繋がりについて。事件のきっかけとなる人物とのいきさつ、日時や会話やの内容、大家との関係、暴力団との関係の有無。重視されるのは電話の発信。どういうわけか着信はノータッチ。裏付けが取れないと刑事とも困ってしまう。
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警察の内偵捜査

警察の内偵捜査にはまったく気がつかなかった。写真は多量に撮影されている。どこにカメラがあったのかもわからなかった。店舗への出入りだけでなく、路上でのやりとりから飲食店で酒を飲んでる姿まで。会話も聞かれている。すべてが捜査資料としてファイルされていた。
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警察の捜査方法

取調べでは、ファイルを開いて目を通して確認するのが多くなってきた。『調書合わせ』という言葉を、このときか後になってかの雑談で聞いた。事件の調べが進み、複数人の供述調書が増えてくると、調書合わせに注意しなければいけない。複数人の供述調書の整合性を保ち、信憑度を損なわないように確認を重ねるのだった。
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風俗で働く女性は弱者であって被害者なのか?

違法風俗店の罰則は22日勾留と罰金30万が相場。本番なしのヘルスサービスでの指定地域外の営業での逮捕であれば。この罰則が軽いのか重いのでいえば、軽いのではないのか。刑事もそういうからそうなのだろう。被害者らしい被害者がいないからと思われる。
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供述調書には動機が必要

今回の摘発で、風俗の女性が被害者とならないのなら、この供述調書には動機が必要だった。女性が風俗で働く動機はお金のためであって、店側もお金のためと管理をしていた。お互いにお金のためと割り切っていました。そう書くのが一般的な正解なのはわかっている。
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女性の管理についての供述

歌舞伎町の違法風俗店で問題になっていることのひとつに女性の管理があるという。軟禁したり薬物を使用したりするのは悪質な管理。借金をさせて働かせることは行き過ぎた管理となる。とは言われても女性の管理など簡単にできるものではないという思いがあった。
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刑事は捜査情報を洩らすのか?

警察が捜査情報を洩らしたと新聞の記事になったりする。係長に訊いてみると「カネを積まれたら洩らすよ」と笑いながら言う。もちろん冗談なのだろうけど、半分は本気のようである。退職金も年々と削られているし、いつ懲戒免職になるかわからんよとも話している。
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検事の取調べとは?

検事調べの質問には、警察での供述調書に沿った内容であれば「はい」と明確に答えたほうがテンポよく進む。言いよどんだりすると必ずそこを突っ込んでくる。検事の供述調書は質問と同時進行で口述で作成される。質問をいったん止めた検事は脇机に座る事務官に「供述」と声をかけた。
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検事が作成する調書とは?

検事は頭が切れるのは確か。小さな事件であっても細かなところまで把握していている。で、検事には事件の筋書きができていてる。筋書きに沿わなければ反省してない、言いなりに認めれば反省してる、となってしまう。
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留置場の生活

取り調べが終了すると1日を留置場の房内で生活するようになる。鉄格子の向こうの壁には日課が掲示してある。起床 7:00、朝食 8:00、昼食 12:00、夕食 18:00、就寝 21:00、運動随時、の6項目のみ。あとは読書くらいしかすることがない。
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犯罪者の特徴

刑事も検事も、お金が欲しかったから横領したと決めつける。けど最初は穴っていうのか、こんなふうに帳簿の操作をすれば現金がなくなっても誰も気がつかないんじゃないかといった経理の欠陥を証明したい気持ちがあった。犯罪に至った経緯はそのようである。
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歌舞伎町は危険か?

歌舞伎町は十分に安全だとビシッと言ってやりたい。歌舞伎町は危ないなんて言ってる人は来ないのだから、無理して来させなくてもいいじゃないか。これ以上、治安回復だの浄化作戦だ騒いでも歌舞伎町のイメージが輪にかけて悪くなるだけだ。
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略式命令の罰金刑で釈放

釈放日に霞ヶ関の中央合同庁舎につく。連行の警察官に腰縄と手錠を外されて、簡易裁判所の一室の机の前に座っていると現れた裁判官が対面に座る。略式命令と記載された書類が机の上に差し出された。罰金30万とある。
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新風俗のシステム

新しい営業形態の風俗店は、まずデリバリーヘルスの届出をして歌舞伎町で無店舗として営業をする。女性の派遣エリアは店から歩いて1分か2分まで。派遣する場所はレンタルルームという風営法でも定められている簡易休憩所を利用するというシステムだ。
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釈放日の感想を一言でいえば?

拘束されて張り詰めていた緊張が釈放されると一気に解ける。ひどい凝りのようなものが残っている。酒を飲んでも酔わない。とにかく女体を抱きたい。で、ぶちまけたい。ムラムラが抑えきれない。得体のしれないパワーが血液を送り込んで勃起ばかりさせていた。
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脱法営業の風俗店とは?

まず歌舞伎町に事務所を開設して、警察に無店舗営業のデリバリーヘルスの届出をする。割引チケットで集客する。脱法営業とされるのは客を対面で受付する部分。店舗と同じじゃないかという指摘もありそうだが、警察OBの行政書士のお墨付きのシステムだという。