坂井あい、18歳の高校生、紹介されて3Pを企てて


嫌気が差すときには都合の良い理由

「アッ田中さん、今どこですか?」
「新宿にいる」
「俺も今から新宿に行きますから。女のコと約束していて」
「何時ごろになる?」
「5時ごろです。着いたら電話しますよ。3Pできますんで」
「おっ、やったな」

仲間のスカウトのヒロシからの電話だった。

ちなみに3Pとはあの3Pのことだ。
男2人と女1人でセックスをするのである。

なぜ3Pをするのか?
当初、彼からもこのような質問を受けた。

それは仲間になる儀式である。
3Pをする事で仲間になるのである。

なぜ、3Pをすると仲間になるのか?
この仕事にに3Pが必要だからである。

具体的にはどういうことなのか?
なぜか、ググッと力が入ってきた。

まず、仲間同志は裸の付き合いをしなければならない。
この仕事は孤独で人には軽蔑される仕事だ。

それだけに、仲間を大事にしなければならない。
それには、3Pにより赤裸々な姿をさらけだす必要がある。

だから仲間になる儀式である。
それと時と場合により、心を非情にしなければならないときがある。

心の中でごめんなさいと言いながら、女のコの背中を押す場合もある。

中途半端な情愛との決別の儀式でもある。
それと、今までの経験から言えば、3Pができる女のコは確実に収入となる。

祈りの儀式でもある。
そして皆穴兄弟になる。

・・・と彼につい力説してしまった。

すると彼は、「そうですね、今度ぜったいやりましょうよ」としきりに納得していた。

宿駅東口の信号
アルタ前広場から新宿駅東口の信号を見て

5時ごろアルタ前広場で合流した。
18歳のコギャル現役の彼女。

けっこうかわいい。
派手な服装がなんとなくおしゃれにきまっている。

以外に、外見のイメージとは違ったおとなしい話し方をした。

「アイ、AVやるんだよな」
「うん。考えている」
「でも、いま高校行ってんだよな」
「うん。4月に卒業だけど。バレない、バレない」
「田中さん、18歳になっているから彼女、大丈夫ですよね?」

スカウトしてると、高校生の女のコはよく足が止まる。
好奇心が旺盛なのだ。

ヒロシのスカウトも危ういものだった。

「やっぱ、まだムリですか?じゃ、アイさ、風俗できるだろ?」
「えぇ、やだぁ~」
「だいじょうぶだって」
「ムリムリ」

このコはかわいかった。
見た目ではない。

高校卒業を間近に控えている、ということもあるのだろうか。
キラキラしている感じがする。
若さがまぶしい、というのか。

「風俗やるんだったら、ちゃんと貯金してすぐ辞めないとダメだよ」と言ったあと自分がすごくオヤジに感じてしまった。

雰囲気的に、なんというか妹みたいなかわいらしさ、というのもあった。

自分には妹がいない。
だからなのか、妹願望はものすごく強い。

妹がいたらもう少しきちんとした人間になっていただろう、と思ったりもする。

このコが風俗で仕事をしたら、このキラキラした感じが無くなってしまうのではないか。

自分が兄だったらAVや風俗を勧める男など、ぶっとばしたい。
3Pも気が引けてきてしまった。

しかしそうは思っても、このコを放したところでまた別でスカウトされるだろう。

今の彼女の状態だったら確実だ。
新宿のスカウト網は細かく大きい。

それだったら自分の目に届くところで仕事させて上がらせるほうがいいのではないか。

悪い男にでも、ひっかかったら可哀相だ。

スカウトに嫌気が差すときは、こんな都合の良い理由を考える。
そして1人で納得している。

しばらく話をして、ロッテリアを出る。
ヒロシがこっそり聞いてきた。

「田中さん。この後は?」
「ちょっと打ち合わせに行かないといけない」
「どのくらいで終わりますか?」
「1時間くらいかな。それで彼女3Pになるって知っている?」
「いや、知らない。けどそれとなしに言ってあるから大丈夫。じゃあ、後で電話します。部屋番号教えるから入ってきてくださいね」

手筈はお互いわかっている。
まず、ヒロシと彼女がラブホで1発やる。

ころあいを見計らってヒロシが説得する。
たいがいの女のコは驚くが、自分が部屋に入り明るくふるまう。

「ちょっとだけだから」とか、「オレってタマでかいでしょー」とか「じゃあ、チンコをダブルで握ってみようか」、とノリ良く3Pになる。

この方法で今までに2回ほど3Pをした。

ヒロシは彼女を連れて歌舞伎町2丁目のラブホ街に向かう。
自分は新宿駅南口に向かう。

AVをやる女の子はいい子が多い

南口で打ち合わせる相手は、制作会社の社長。

この前、「ハメ撮りをやってもらえないだろうか」と電話があったため、話を詰めるため予定してあった。

ルミネの喫茶店で社長は待っていた。
ひとなつこい笑顔だ。

「いそがしそうだね」
「貧乏ヒマなしで」
「どう、女のコあがっている?」
「いや、今の季節きびしくて。社長どうですか?」
「今、スカトロできるコ探していてね」
「社長もスカトロ好きですね」
「今度はね、ミレニアムウンコと言うことでね・・・」

と話しが続く。

タイトルもエグければ内容もグロテスク。
主演する女のコは大変だ。

しかし、AVでウンチする女のコはいいコが多い。
いや、総じてAVをやるコはいいコが多い。

ここでいういいコとは、不理尽な指示にも素直に従い忠実に仕事をこなす健気な子、と言う意味。

マクドナルドでスマイルして働くコも、イヤイヤながらもカメラの前でアナルどアップでウンチするコも本質的に一緒であって、紙一重の差だと思う。

学校を卒業して、社会のことも良く分からないコが、なんのかんの理由をつけやらされているだけ。

AVをやるコは、バカだ何だの非難されるが、そのいいコを動かして得をする連中は非難されにくい。

動かす人間と動かされる人間では、動かす人間のほうが、良いに決まっている。
自分は動かす側の人間でありたい。

ハメ撮りのポイントのを聞く。
60分テープ2本とスチール写真、コメント文、女のコの承諾書など結構手間がかかる。

2時間ほど打ち合わせした。
それから社長と別れて東口に向かう。

ヒロシからは電話が無い。
3回ほどかけるが、折り返しもない。

もう始まってはいるだろう。
しばらく待とう。

新宿駅東口のアルタ前広場で気が滅入る

風が強くかなり寒い。
東口のアルタ前広場で鉄柵に腰掛け、アルタの大画面を見ていた。

大画面には、モーニング娘が “ 恋のダンスサイト”を歌って踊っている。

くどいくらいに、何回も映し出されている。
女のコは、この歌謡曲のような恋愛をし、きれいになりたいとエステでローンを組む。

夢のため、学校に行ったり、レッスン料、月謝を払うため、キャバクラでバイトし、風俗で男の体をなめ、AVで本番やウンチをする。

こずかいができると、アルタで買い物し、海外旅行を考える。
皆商売でやっているのだからお金を払ったり、動いてくれる人がいないと社会が成り立たない。

それはそれで良いのだが、女のコは周りを観て動くと言うことに弱い。

その状況で自分には本当は何が必要なのか?
それほど『恋愛』や『カレシ』が大事なものなのか?

だから、目標を決めて仕事するように、何十人に言ったことか。
大半は女のコを動かし得する連中に動かされ終わってしまう。

そう考えてみれば、なにも女のコだけではない。
そういう流れが見えなく、動きができない男がホームレスになって、この広場前にたくさん座り込んでいる。

アルタの大画面から流れる歌謡曲を聞きながら、おしゃれして歩いている女のコや、ホームレスになってしょぼくれているオッサンを見てそんなことを考えていた。

やはり、動かす側にならないと面白くない。
だけど、あのコには風俗や事務所に入れ込みたくないな、とも思っていた。

何もあのコと3Pすることもないか。
モッコリして待っているのもマヌケだ。

30分ほど待ったし。
仕方ない、今日は帰るか。

ウチに着いたところでヒロシから電話があった。

「田中さん、いまどこですか?」
「ウチに着いたよ」
「エッ、何で待っていてくれなかったんですか」
「ゴメン、ゴメン、遅かったからさ」
「いや、あいつすごくて、電話できなかったんですよ、もうタマまで吸い付くようになめるし・・・」
「コンニャロ、今度、首しめるからな」
「アッ、それと田中さんのあだ名 “ オヤジ ” に決まりましたんで」
「エッ」
「だって、田中さん説教くさいんだもん。ダメだってあんな話しちゃ」
「それは・・・」
「アイが、田中さんってオヤジだね、ていうからさ」
「・・・・」
「じゃあ、あだ名オヤジにしよう、っていう事になって。2人で大爆笑でしたよ」
「・・・今から行くから、・・・3Pしよう」
「だから待っていてくださいって言ったのに」
「・・・ちょっと待っていて」
「もう終わりました。ったく、たのみますよ」
「・・・」

– 2002.4.20 up –