講習で射精したからトビとなったのかも


激怒に屁理屈

息を吸い込んでからの智子は「ふーん」と、不気味な半目となった。

最初は、それも仕事だからと理性で抑えたのだろうか。
平静を装い「そう・・・」と返事をしたが、目の奥が着火したのを感じた。

そして砲弾が飛んでくるのを眺めているような時間。
着弾。
やはり爆発。

「どうしてよ!」
「なにが?」
「そういうのひどくない?」
「なんで?」
「どうして、そういうこと話すの!」
「隠し事しないためだよ」
「それは、わたしをバカにしてる!」

毒をもって毒を制す。
負の感情には、負の感情で制す。

頭に沸いたうじうじを解消するためには負の感情は3つ4つと必要で、それらは互いに円滑に働いた。

「ううん、バカになんてしてないよ」
「してるじゃない!」
「オレは智子がいちばん大事だよ。智子は子供たちだろうけど」
「いまは子供は関係ないじゃない!」
「いや、あるよ」
「ないでしょ!」
「だって、オレより子供たちのほうが大事・・・」
「あなたは、そういうところがおかしいのよ!」

熟女が持つ、鼻から抜けるような尻上がりの柔らかい声がなくなった。

にっこりした笑みの甘美な芳香もどこかに消え去って、目からは狂気の光を向けてきている。

「じゃあ、子供たち捨ててくれたら、もう講習しない」
「子供たちは関係ないじゃない!」
「やっぱ子供たち、捨てれないんだ」
「あたりまえじゃないの!」
「いざとなったら、オレよりも子供たちだろ?」
「今は関係ないじゃない!そんなこと!」
「オレと子供、どっちが大事?」
「だからいいじゃないの!そんなこと!」

哀れで不幸な女が全力ですがってくるようにも見えて、うっとりとした愉悦すら込み上げてくる。

また、ぐいと酒を飲んだ。

「川でさ、オレと子供がおぼれて流されていたらさ、どうせ子供を助けるんでしょ?」
「あたりまえでしょ!」
「やっぱ、どうせオレは見殺しだ。智子はそういう薄情な女だ」
「そういう話してるんじゃないでしょ!」
「ううん、そういう話だよ。オレはどうもいいんだ。智子は口だけはいいこと言ってるだけ。食べ物で男を釣っているだけ」
「どうして、そういうこというの!」
「アメリカではさ、そういうときって男のほうを助けるんだって。だって、相手がいれば子供はまたつくれるでしょ?」
「アメリカはアメリカでしょ!」
「ううん、それが普通なんだよ。世界の常識。だってアメリカだもん。だいたい智子は、子供子供って異常なんだよ。異常すぎる」
「小さい男!ほんとうに小さい!」

興奮して余裕がない智子は、アメリカまで引き合いに出した自分の屁理屈に必死に噛み付いてくる。

自分は悠々と、また酒を飲んだ。

智子が熱くなればなるほど、屁理屈は冷静に理不尽にぶつけられた。

「じゃ、なんで、そんな小さな男と付き合ってるんだよ。好きなんだろ」
「く、う・・・」
「ふーん、好きじゃないんだ。好きじゃないのに一緒にいるってことは、やっぱチンコだ」
「く・・・」
「やっぱチンコだ、チンコだろ」
「く・・・」
「チンコが好きなだけだろ、チンコが目的なんだろ、チンコさえあればいいんだろ」
「う・・・」
「どうせ、鳥わさ作るのだって、チンコを起たせるためだろ、してほしいんだろ」
「・・・」

ああ、心地いい。
酒がうまい。

女性の情愛や良識を、屁理屈と理不尽でぶった切りしたときの心地よさってある。

智子だって悪い。
嘘であっても『子供よりも大事』と一言でもいってくれたら、とっくに屁理屈は収まっているのに。

「セックスがしたいんだろ、したいだけだろ」
「やめて・・・」
「オレは人間バイブなんだろ。オレのチンコを使いたいだけなんだろ」
「もう!やめてよ!」
「子供たちとチンコのことしか考えてないんだ」
「やめて!」
「ドスケベ智子!チンポ好き!チンポ女!やりまん女!ふしだら女!すきものいんらん女!」
「もうわかったから!やめて!」
「わかったんだったら、子供たち捨ててくれる?」
「く・・・」
「なんだ、いやなんだ。だったらまた講習しよ。智子は子供たちは捨てないっていうし」
「うっ・・・」
「だってさ、智子ってぜんぜんフェラしてくれないじゃん。シックスナインだってしてくれないし。そう考えてみれば智子だって悪いよね。オレばかり責めるけど」
「・・・」
「ああ、フェラ、きもちよかった。ハタチのコでさ、一生懸命してくれたよ」
「ガッ・・・」
「いて!」
「ガッ、ウッ、ウ・・・」

迂闊だった。
顔を引っかかれた。
思いきり。

女性に包丁を向けれたときの対処法

智子はどんなに怒りを爆発させても、どういうわけか叩くことはしない。
物を投げるのも、当たり散らすのもしない。

服を掴んで引っ張るか、腕に噛みつくか、顔を引っかくかになる。

あとは1回だけ、5年ほど前に、泣いて顔面をぐちゃぐちゃにした智子がキッチンの包丁を持ち出して身構えたことがある。

そもそも、その5年ほど前に、離婚したばかりだった智子と付き合おうとなるまで頑張ったのは、熟女が好きだったからではない。

まだ、熟女が好きだとは自覚してなかった。

付き合おうと頑張った目的は、元ダンナがいいとこの会社を退職することになり、退職金が慰謝料として入ると耳にして、それを取り上げたいなと企てたからだった。

ところがだ。
退職金は、元ダンナの不祥事の穴埋めにいってしまう。
智子への慰謝料は全く入らなかった。

あてが外れてがっかりして、やはり理不尽に別れ話を切り出して、キッチンに飛び込んだ智子に包丁を向けられたのだった。

泣いた目を激怒でぐりぐりさせて、ふーふーと荒い呼吸で包丁を両手に持ち身構えた迫力に『殺される!』とびっくりして飛び上がってからは文字通り腰を抜かして立ち上がれずに、あとは床を這ってあわあわするだけで、どうすることもできずに、必死の土下座しかできなかった。

女性が包丁を持ち出すときは話を聞いてほしいからであって殺すつもりはない、ときちんと理解できる大人になるのは、その後に2人目に包丁を向けられて土下座してから。

それでも、包丁を向けられて身構えられたときには、金玉の裏が緩んでおしっこを漏らしそうになった。

日記を読み返してみると、3人目の包丁ともなると、うすうすとキッチンに飛び込まれるタイミングもわかるようになり、驚きで飛び上がることもなく、腰も抜かさないし、金玉の裏も緩むことがない。

「ほらきた!」と余裕も保ったままで「刺せば?」と腹を出せるようにもなっている。

やはり女性が包丁を向けて身構える姿は、凶暴というよりも、純度が高い情愛のひとつの形態であるのかもしれない。

なぜかというと、3人目には腹を出して「刺せば?」と言ってみると、今度は「死んでやる!」と包丁の刃先は反対に本人へと向かってしまったからだった。

話も聞いてくれない、脅しも効かない、となると死の抗議も辞さないのだ。

中には本当に刺す女性もいるのかもしれない。

挑発することなく、追い詰めることもなく、落ち着いて話し合えば大事にはならない、とも読み返した日記には書かれている。

DVと勃起の関係

智子は泣きながら、さらに引っかこうと「ウッグツ」と爪を剥いた手を振り上げる。

襲いかかる手首を掴んで阻止しながら、壁に押さえつけて、引っかかられた腹いせに悪態をついた

「やっぱ、子供たちのほうが大事なんだろ!だから捨てれないんだろ!」
「やめて!」
「チンコだったら、息子のチンコでもいいんだろ!」
「やめて!」
「母親失格!離婚女!いろきちがい!けだもの!」
「やめて!」
「異常女!こぶつき女!みもちのわるい女!高血圧しわしわ女!」
「もう、やめて!」
「ばいた!パンすけ!ずべこう!ずべた!」
「もう、やめてよ!」
「だらだら汁ババア!妖怪チンコババア!ブラックホールババア!」
「やめて・・・」

掴んだ手首を離すと、もう智子は襲ってくることなく、床に伏して泣いている。

悲しそうな泣き声をあげて肩を震わせている姿を見下ろしてみると、子供たちにだけ向けられていた『まとも』という笑みを、というのか子供を育てるためにまとっている『母親』という化けの皮を剥がしてやった気がして、胸に溜まっていた鬱屈が鼻からスーと満足の呼気となって抜けていった。

しかし満足は長く続かずに、ひと呼吸分だけだった。
速攻で自己嫌悪が圧しかかってきた。

一方で駆り立てさせるに近い動悸が増殖していって、内圧が高まるようにして呼吸は短くなって、・・・つまり勃起した。

自己嫌悪からくる勃起ってある

自己嫌悪からくる勃起は、穴への突入を強行したがっている。
手ではどうしようもなくて、肉穴を求めているのだ。

一方で悪態を謝りたくもある。

迷うもどかしさのまま、伏して泣いているラベンダーのカーディガンの肩に、そっと手をかけた。

が、思いきり腕で振り払われた。
勃起が強行されたのは、腕を振り払われた瞬間だった。

謝りたくもあった気持ちは、その強行に吸収されたようだった。

伏して泣いている智子の体を押し倒しながら、脇を取り、あおむけにひっくり返した。

なにをされるのか察して腕が抵抗してきたが、一方の腕は体で押さえ込まれて、もう一方の腕は手首を掴まれて捩じ上げられて床面に押さえつけられた。

自分の探った手が花柄スカートをめくり上げると、体で押さえ込んでいるほうの腕の手先が抵抗して引っ掻いてきた。

構わずにパンティのフロントに手を入れると「やめて!」と声を上げている。

怒っている「やめて!」ではなくて、お願いをしてる「やめて!」だった。

手先は太腿を割り込んで、指先は股間まで滑り込んだ。
肉襞の奥は、びだびだに濡れている。

指先にびだびだを絡ませてからクリトリスを捕らえて、バイブレーションしながら濡らしているのを責めた。

「ねえ、なんで濡れてるの?」
「ウ・・・」
「やめてっていってるのに濡れるの?」
「ウ・・・」
「なんで?おかしくない?」
「ウ・・・」
「やっぱ、スケベなの?チンコ好きなの?セックスしたいの?」
「ウ・・・」

涙顔の智子は、意地でもこれ以上は好きにさせないとばかりに、身をよじって脚をばたばたとさせている。

パンティを太腿まで下ろしてからは足先に引っ掛けて、脚のばたつきに乗じて剥ぎ取った。

閉じる膝頭を割って、体を反転して上位になって、腰を押し進めた。

「どすけべ智子!」
「ウッ・・・」
「セックスしたいんだろ!」
「ウ・・・」
「ああ、すっごい・・・、ぐしょぐしょになってる・・・」
「ア・・・」
「ああぁ、いい・・・」
「アア・・・」

勃起はするりと受け入れられた。
智子をなじりながら、勃起はゆっくりと根本まで埋められた。

「感じてるの?」
「ンンン・・・」
「もっと声だしてよ」
「ンンン・・・」
「ほらっ、声だして!」
「アッ」

腰を打ちつけながら、智子の表情をじっくりと眺めた。
智子の表情は、苦しみに耐えているように歪んでいる。

熟女になると肌は薄くなり毛穴は埋まって滑らかになる

すぐにマンコ汁は勃起にまとわりついて、送出を潤滑にさせている。

智子は身をよじって声を漏らした。
子持ちの女性は、日常生活では勃起がわずらわしくなるのか、剥き出しの勃起に対して分別ある態度を漂わせる。

その態度が、剥き出しにした勃起によって消え去ると、やっと自分の言っていることをわかってくれたんだ・・・という優しい気持ちになる。

素直になったような、40代の熟女が可愛くも見えてくる。

「オレと子供、どっちが大事?」
「アッ」
「どっち?オレでしょ?」
「アアァッ」
「やっぱオレだ、オレなんだ、やっぱオレがいいんだ」
「アアァァッ」

感じた声を洩らしているのが、わかってくれた返事の代わりに聞こえる。

やっと自分に内奥を曝け出してくれたんだと、子供たちよりも自分を選んでくれたんだと、安心に似た満足の呼気が、また、すぅぅと鼻から抜けていった。

「智子、好きだよ」
「アァッ」
「好きだから、いろいろいっちゃった」
「アアァァッ」

体を強く抱いた。
やはり熟女の肉感は、生温かくなったイチゴ大福のようだった。

密着感がある。
昨日のハタチの体よりは、密着感がある。
この密着感が欲しかった。

締め上げるほどに抱いて、とろっとした肉質を感じながら強く腰を打ち込むと、智子が「アアアッ」とあえぎ声を洩らした。

熟女になると、静脈が透けるほどに肌は薄くなり、毛穴は埋まって滑らかになる。

柔らかくて滑らかな太腿は、打たれると音を発しやすい。
太腿を抱えて、わざとらしく肉の打音を立てて突き上げた。

パンパンパンと肉音を出しながら、カーディガンの柔軟剤の匂いを嗅ぎながら、収まらない勃起を突きつけた。

柔軟剤の匂いを十分に嗅いだ。
すぐそこに射精感はきていて、ざわついている。

気持ちよさの継続よりも、何回も出したがっている。
まずはお尻で射精したい。

「智子、バックでしよ、お尻、向けて」
「ンン・・・」
「いいから!早くお尻!お尻でするの!」
「ンン・・・」
「服着たままでいから!早くお尻!こっちに!」
「ン・・・」

いったんは背を向けた智子だったが、まくしたてるとあきらめの大きな息をして、着衣のまま四つん這いになりお尻を向けた。

花柄スカートをめくり上げた。
お尻を鷲掴みにして腰を打ちつけた。

卸したての花柄スカートは、乱暴にされてシワだらけになっている。

褒めた花柄スカートを、卸したての花柄スカートを、自分の手で思うように扱ってみたい。
自分のもののように好きにしたい。

花柄スカートを好きにできて初めて、子供よりも自分が大事だと実感できる気がした。

この花柄に精液をかけたい、花柄に白濁を重ねてみよう、柔らかい素材に精液を染みこませてみよう、と勃起中枢がいくつも要求を頭に突きつけてきて、途端に射精感がざわついて一気にこみ上げてきた。

お尻から勃起を抜いた。
精液は花柄スカートにぶっかけられた。

「あああ・・・」と呻きながら、精液を飛び散らせた。
花柄スカートは、精液を吸収してシミをつくった。

亀頭から垂れる精液は、柔らかいスカートでぬぐわれた。
満足の呼気が抜けていく。

勃起の脈動が収まるにつれて、冷静さが頭に広がってきて、これは怒らせてしまう・・・と今さらながらすぐに謝った。

「ごめんね」
「・・・」
「ごめんね」
「・・・」
「ごめんね、ねえ、ごめんね」
「・・・」

横になって呼吸を整えている智子は、脇に目線を向けて、黙ったまま。

精一杯にやさしく謝りながら、太腿を撫でた。
謝り続けたのだけど、智子は脇を向いたまま黙ったまま。

漏れだす感覚の射精

謝りながらも、勃起は収まってなかった。
勃起というものは多感だ。

ちょっとしたことで、次から次へと興ってくる。
どうやら、許されたいことからの勃起というのもある。

浅い呼吸は、焦ったときの呼吸に近い。
性的な興奮度は全くないといっていいほど低くて、ゆっくりと勃起していく。

抵抗しない智子の着衣をすべて脱がして、脚を開いてまた挿入した。

今度は、許されてから射精したかった。

ゆっくりと腰をグラインドしながら謝り続けて、髪を整えて頭を撫でながら、許すように執拗にお願いした。

「智ちゃん、ごめんね」
「ン・・・」
「ホントにごめんね。ゆるしてくれる?」
「ン・・・」
「ごめんね。ゆるして」
「ン・・・」
「ゆるして」
「ン・・・」
「ゆるして、おねがい」
「ン・・・」

智子は許さないとばかりに口をつぐんだが、腰を小刻みに押し付けていくと、しがみついて喘いできた。

お願いを連呼しながら、耳たぶを咥えながら、勃起は送出されていく。
やがて智子は、執拗なお願いにわずかにうなづいた。

「ゆるしてくれる?」
「ウン・・・」
「ほんと?」
「ウン・・・」
「ちゃんと言って、ゆるすって」
「ゆるして・・・、あげる・・・」
「もういっかい、ゆるすって言って」
「ゆるして、あげる・・・」
「もういっかい」
「ゆるして、あげる・・・」

このまま射精したい。
許されてからではなくて、許されながら射精したい。

「ああ、もっと、いって、ゆるしてあげるって」
「アッ、ゆるして、あげる・・・」
「もっと」
「アァッ、ゆるして、あげる・・・」
「もっと」
「アァッ、ゆるして、アッ、あげる、から・・・」

射精感がこみ上げてきた。
漏れだす感覚の射精だった。

四十路熟女
許されたことでの射精というのもある

結局のところ。
サトミと名付けた新人の女の子は、体験入店の1日でトビとなった。

連続してのトビだ。

その前に島田が面接に連れてきた可愛いブスの女の子も、ヨウコと名付けたが、体験入店の1日でトビとなっていた。

原因はわからない。
サトミもヨウコも、とっておきの名前だったのに。[編者註25-1]
大事にしようと念じたのに。

予期しないトビがある度に、こちらに何か不備があったのかとも考えてしまう。

もしかすると、射精とは歪んだ人格の者ほどできるのかも。

サトミにもヨウコにも、講習ではそれぞれ2回と3回と射精したから、歪んだ人格が射精と共に伝わってしまったのかもしれない。

もっと爽やかな射精をしたいとも、講習で射精はやめとこうとも、このときは考えもした。

– 2019.5.7 up –