詐欺師の手口とは?


発起人設立費用としての現金300万

玲子がお金の用意できるといっていた月曜日がきた。

昼食時に新宿ヒルトンで待ち合わせて、久しぶりのランチをすることになる。

玲子は胸の膨らみが露なカットソーに、タイトスカートを履いて現れた。

お尻には、パンティーラインを浮かび上がらせている。

熟女のタイトスカート
タイトスカートにパンティーラインを浮かべせていたのが彼女の隙に感じた

いつもと雰囲気が違う。
お金のことが言い出しづらかった。

しかし、簡単な世間話のあと、玲子の方から切り出してきた。

「お金持ってきたんだけど・・・」
「そう。じゃ、預かる物だけ先にしよう」

玲子はバッグの中から、厚みのある封筒を取り出した。

ずっしりと感じた封筒をテーブル越しに受け取る。
表情も崩れなければ、封筒を持つ手も震えなかった。

声もしっかりしてる。
自分で詐欺師だな、と感心した。

見ると郵便局の封筒に入っている。

「このお金どうしたの?」
「郵便局の定期預金担保にして借りたの」
「そう、金利は?」
「8%」
「あとはオレに任せておけば大丈夫」
「賢一さん・・・」
「なに?」
「わたしを後悔させないようにしてね」

こんなことを言うとは、たぶん彼女は悪い結果を半ば予感しているかも。

少なからず心の準備ができているのだったら、自分のほうはやりやすい。

「そんなこと思ってるの?」
「ううん。思ってないけど・・・」
「オレに任せてよ。玲子とオレは発起人なんだから」
「うん」
「それで、これ預かり証ね。発起人設立費用として金額入ってるから」
「うん」
「封筒の中は数えなくても大丈ダンナだね」
「うん。まかせる」

ロビーに降りた後。

タイトスカートのヒップラインが気になる。
どころか、すでに軽い勃起をしている。

トイレに連れ込んで「誰もいないから、ちょっときて」と個室にはいる。

すぐに頭を抱えてキスをした。
玲子は「んんん・・・」と呻いて、唇を吸おうとしてきて、お互いの歯がガチッと音を立てた。

「誰か来たらどうするの?」
「見てもらう」
「エッ、ちょっと・・・」
「いいから、お尻出して。立ちバックでしよう」
「エッ」
「手を前について」
「・・・」
「おしりを突き出すようにして」
「・・・」
「そう、入れるよ」
「ウッ」
「声だしちゃダメだよ。誰かに見られるよ」
「ウッ」
「もう、濡れてるじゃん」
「・・・・」
「スケベ・・・」
「ウッ」
「ドスケベ!」
「ウッ・・・」
「なんでそんなにスケベなんだよ」
「ウッ」
「声だしちゃダメだよ」
「ウッ・・・」
「アナルが丸見えだよ。今日、ウンチしたでしょう」
「エッ」
「アナルがヒクヒクしてるよ」
「ウッ」

1回イッたあと、ゴムをはずしフェラチオをさせる。
勃起がおさまらない。

白昼のシティーホテルのトイレの個室。
膝まつきフェラチオする従順な人妻。
金の受け渡し後。

そういうシチュエーションだからだろうか。
ビンビンになってる。

2発目もバックでする。
あと、2、3回は引っ張れるだろう。

300万の設定は適当だったが、封筒の差出しかたからいって、これで打ち止めなんてことはないという見当はついていた。

仮に彼女の貯金が300万だとすれば、最初からは丸々全額は出してこない。

最初から300万を出せるということは、少なくともあと100万か200万くらいは預金の残高はあるのではないのか。

勃起はおさまらないが、呼吸は静かだった。

心の中で「もっとカネだせ!もっとカネ出せよ!」と念じながら、鷲づかみにした白いお尻を思いきり突いていた。

2回目からは手の平返しで金が獲れる

こういうお金は、1回引っ張れば、2回目、3回目はさらに引っ張りやすくなる。

立場が逆転したかのようだ。

受け取る方は余裕がでてきたかのように当然として、渡す方は今までの支払いを無駄にしたくないので必死になってくる。

額はわからないが、玲子には癌で亡くなったという親の相続もあったことも知った。

今更になるが、玲子の杉並の自宅もこっそりと見にもいった。

古風ではあるが、なかなかの金持ち感が漂う戸建てだ。

ラッキーだ。
ダンナはいいとこ勤めだし、持ち家だし。

そこに親の遺産だったら余ってる金だから、さほど気兼ねもなく受け取れると自分に言い訳をした。

それからは会うたびに 経過報告をして、口先一つで山場を作る。

事業計画書や、依頼書、領収書、架空の出資引受書を見せたりもした。
小道具として自分で作成したものだ。

「今月の末に設立できるから」といい「先方の都合で出資金の振りこみが遅れてる」と延期にする。

そしてまた、新たな名目をつくって引っ張る。

「先方から1億出ることに決まった」といい「条件的なもので今調整してる」と取り消す。

そしてまた、新たな名目をつくって引っ張る。

「これで来月から、会社から役員報酬として毎月お金出るから」と引っ張り、翌日には「話しが先方と食い違っていて、仕切りなおしになった」と説明する。

人は大金を払うと気分が高揚する

玲子から引っ張った金は、あっという間に700万円を超えた。

もう2人の会話は、状況の説明や確認よりも、お金のことが中心になっている。

「あと200必要だ」から「とりあえず100だけなんとかならないか」となって「50だったら」とか「80は出してよ」と「だったら2人で100いける」と「今週はムリ」とか「じゃ、週明けか」など、会えばそういう話ばかりになっている。

たちまちのうちに、自分は貯金ゼロで収入ゼロの男になっていたし、手の平返しのような失態を犯しもした

が、・・・すべて演技ではあるが、ともかくお金の話は途切れない。
お金のやりくりの話が、女性は好きなようでもある。

そのうちに、締め切り時間を決めると後がやりやすいことに気がついた。

玲子の都合で持参するのが10分でも遅れると「間に合うかな」の一言で「先方が約束が違うと怒ってる」と金だけ受け取って、その場を去るときもあった。

2人で金策を考えているうちに、先方との約束の時間を過ぎるように仕向けもする。

考えているうちに、結局は玲子が全額を用立てることになるが、約束の時間は過ぎていたから「間に合わなかった」の一言で仕切りなおしにもなった。

状況の説明には、矛盾のひとつやふたつはあったと思う。
しかし、それが指摘されることもない。

人は大金を払うと、または大金を手にすると、どうやら気分が高揚するらしい。

高揚は、別の高揚に振り替えもする。
お金の受け渡しがあったときは、お互いに興奮しているものだった。

その日、受け取った現金を手にして鼻息が荒い自分は、助手席の玲子の頭を掴んでキスをした。

この場でのフェラを要求する合図の、頭を鷲つかみのキスだった。

玲子は「んんん・・・」と呻いて、唇を吸おうしてお互いの歯がガチッと音を立てた。

不思議だ。

払ったお金が高額になっていけばいくほど、理不尽も通りやすくなっている。

「もっと奥まで咥えて・・・」とフェラをする頭を押さえつけながら、そんなことを考えていた。

逃げる場所は確保しておかないとならない

状況からいって、1000万円を目指して引っ張り続けた。

しかし、いざ1100万を超えてみると、さすがに自分も今後どうしようか怖くなってきた。

しかし、その怖さは、勃起にもつながった。

今回、玲子が用立てた金は、子供の将来の学費の定期預金を解約した金だったが『そんなこと知るか!』と射精をした。

そして先方の出資は、また少し先延ばしされて、彼女は弁護士に相談した。

これ以上引っ張ると廻りに飛び火する。
不倫等の別問題になると面倒になる。
終わりにしなければいけない。

AVに出てくれないか、ソープで働いてくれないかという話も、半分は本気で半分は嫌がらせとして交じるようにもなった。

玲子がなにかいうのを揚げ足とって、逆に問い詰めて、玲子から逃げていくようにしむける。

自分が悪い男にならなくてはならない。
そして玲子が逃げる場所は、確保しておかないとならない。

だから玲子の家庭は壊してはならない。
玲子も今まで以上に家庭を大事にするのではないか、と勝手に考えた。

2度3度と悪い男に引っかかる女性ではないとも。
今回のことは事故にあったようなものだ。

2回目偶然会った時に「新規事業が・・・」なんていわなければ、その後も軽率な行動はきっぱりと拒否すれば、こんなことにはならなかったのに。

こうしてまた女の債権者が1人増えたが、こんな債権者だったら何人いてもどうってことない。

しばらくして、昼間に会社勤めをはじめたという玲子と1回会った。

出版社の営業で、毎日が楽しいらしい。
それはそれで、充実してるみたいだった。

お金の件は、玲子からはなにもいってこない。

たとえ警察に駆け込んだとしても、この手は民事不介入で詐欺事件にはならない、と分かっていた。

相談した弁護士が動かないのは、有利な証拠もないから、民事係争も無駄になるとの判断だろうか。

「浮気がダンナにバレたら離婚になる」と玲子がいっていたのは、トラブルにはならないとの都合のいい保障にもなっている。

自分は「会社設立の件はもう少し出してくれれば、絶対にうまくいく。確実だから」というスタンスを保っている。

しかし最後に会ったときの玲子は、なんだか吹っ切れたというのか、以前とは違った雰囲気があった。

そんな話には、もう耳を貸さない。
セックスどころか、体にも触れさせてくれなかった。

あれっと思ったが、玲子の香水は、男物のエゴイストだった。

– 2001.11.15 up –