小沢のぞみ、18歳の短大生で風俗未経験、スカウト通りで声かけてから


歌舞伎町には約100件のホストクラブが

2003年ころ撮影。夕方の歌舞伎町交差点とドンキホーテ。中央分離帯から。

彼女をスカウトしたのは、去年の9月。

日記を見ると日曜日の夜になっている。
思い出してみると、日が沈むと大分涼しくなり、夏が終ったという感じがしてきた頃だった。

日曜日の夜は、人通りも少ない。
キャバクラも営業してないからか女の子の1人歩きも少ないし、スカウトも少ない。

午後からスカウト通りで声をかけはじめて、60人ほどコンタクトして、アプローチは3人だった。

そろそろ帰ろうか・・と迷いながら、半ば適当に声かけすると、彼女の足はすんなり止まった。

しばらく立ち話してから「ジュース飲むか?」と聞くと、ニコッと笑って「うん」という。

セントラル通りの自販機で小銭が足りなくて「ゴメン、10円貸して」というと「いいよ、あげる」と手渡たされた。

笑顔も、性格も、良い印象だった。
それでいて、とびきりではないと感じてしまったのは、色気がまったくないからか。
小顔の細身で、服の上からは肉感がなかった。

年齢は18歳。
4月に高校を卒業したばかり。

「きょうはどうしたの?」
「カレシと待ちあわせ」
「そうなんだ、何時?」
「9時」
「じゃあ、あまり時間ないね。・・・カレシはなにやってるの?」
「バーの店員」
「そうか、・・・じゃあ、バイトの話なんてムリだね」
「ンン・・・、きょうカレシにバイトの相談するところなの」
「バイトの相談?」
「うん」
「カレシのバーってホストクラブ?」
「ううん、ホストとはつきあわないから」

歌舞伎町には、約100件のホストクラブがある。
小規模の店はボーイズバーとかサパークラブとかの呼名がある。

「カレシと2人で貯金しようとか?」
「ううん。・・・あのね」
「うん」
「カレシの店に10万の借金があって」
「ボーイズバー?」
「ううん、ショットバー」
「ショットバーね」

ショットバーで10万の借金が、よくわからない。
まあでも、その類の彼氏なんだなと、気にもとめなかった。

「いま、スーパーでバイトしてるけど、それだけじゃ足りなくて・・・」
「足りない?」
「うん、だから、カレシがバイト紹介するって・・・」
「そう、キャバクラ?」
「よくわからないけど・・・」
「そうなんだ」

やはり、その類の彼氏だ。
なんとかこのコを働かせて、うまいこと金にしよう、というパターンか。
歌舞伎町では通常でもある。

ちょっとおしかったか。
不思議と「昨日入店した」「今日面接してきた」「先週宣材撮った」という女のコにあたる場合が多い。

要するに、スカウトできるコというのは、早かれ遅かれ誰かが動かす。

「バイトの話を聞いて欲しかったんだけど、カレシと相談中だったらしょうがないね」
「うん」
「結果どうなったか聞かせてよ。ケイタイ持ってる?」
「うん」
「オレ、着番でかけるから、何番?」
「うんとね。090の●●●●の●●●●」
「かけるよ。・・・番号でた?・・・それがオレの番号だから。田中ってちゃんと入れといて」
「うん」
「・・・うさんくさいオッサンっていえばわかるでしょ」
「フフ・・・」
「それと、こんど10円返すから」
「いいよ」
「とりあえず、あした電話するよ」
「うん」
「それじゃーね」
「うん」

セントラル通りで別れた。
携帯のメモには、のぞみ、18歳 短大生、スーパーでバイト、カレシはバー店員とメモした。

見切りができないとスカウトはうまくいかない

声をかけてからは無視が基本だけど、目が向く無視は最良だった。

翌日も、昼からスカウト通りで声をかけていたが、さっぱり手ごたえがなかった。

快晴なのに、声をかけたとたんに顔が曇る。
10人ほどは無視や早歩きが繰り返された。

声をかけるのをやめて、携帯を手にして街路樹にもたれた。
電話すると彼女は出た。
動かせるなと、すぐに感じた。

「田中だけど」
「あー、きのうはどうも」
「寝てた?」
「起きてたよ」
「きのうの10円返さないといけないと思ってさ」
「いいよ」

電話番号の交換をした翌日には、それを忘れてるコだっている。
ひやかしで話を聞いただけで、わざと忘れてるフリをしてるのかもしれない。

いずれにしても、スカウトして後日に連絡が取り合えないようでは決まらない。

「それで、カレシなんだって?」
「うん、別になんともならなかった」
「それだったら、こんど、オレの話聞いてよ」
「うん」
「つぎはいつ新宿に来る?」
「きょういくよ」
「また、カレシの店にいくの?」
「うん」
「そのときでいいから電話ちょうだい」
「うん」
「おそい時間でしょ?」
「うん。バイト終ってからいく」
「それじゃあとでね」
「うん」

電話を切った。
彼女には、もっと時間をかけてもいい。
見切る判断がわかってきたころだった。

手帳のメモをデータにしてみる。
1日20人から80人ほどコンタクト(声かけ)している。

どれだけかわいくても、話ができても、ダメなコはすぐ見切る。
そして、絞って「これは!」とアプローチできるコが1日2人程いれば上出来になる。

まず、相手にAVの話をして興味づかせる。
結論はすぐには出させない。

「今すぐでなくていいから」とわざと考える時間をつくる。
そして、番号の交換をする。

それ以降に連絡が取れ、自分の名前を覚えたコは動かせる。
アプローチ人数が10人中1人は、宣材撮りか風俗店の面接に持っていけた。

そこそこかわいいコか、一生懸命に仕事するコを月に2人所属させれば、とりあえずはスカウトで食ってくことはできる。

2人以上は稼ぎになる。
AVの場合はどれだけ動くか、というのが重要になる。
動かないコに時間をかけるのは無駄になる。

この見切りができないと、スカウトはうまくいかない。
そんな流れがわかってきていた。

風俗は内緒でするもの

新宿駅東口のマイシティー。スクランブル交差点から見て。

20時ごろ、新宿駅東口についた彼女から電話があった。
合流してからは、ケンタッキーを食べながら、カレシの写真を見せてくれた。

カレシは、どちらかというとブサイクだった。
秘かにうれしい。

「でもさ、ショットバーで10万なんて料金高いね」
「ううん。一杯800円だからそうでもないよ」
「そう、ボトルでも入れたの?」
「うん、ドンペリ入れた」
「よく、その店見つけたね」
「うん、7月ごろ友達とカラオケに来たときに飲みにきてといわれて」
「そう」

キャッチ?
バーがキャッチするのか?

「カレシ忙しいんだね」
「うん、主任だから、売上を上げないといけないんだって」

主任?
売上?

「ああ、それで足りないっていってたんだ」
「うん・・・」

そうか。
ボーイズバーのミニ版か。

やはり、色恋に引っかかってるのか。
稼ぎたいという彼女の理由がわかった。

「そっか、オレさ、あちこちから頼まれていてね、のぞみが店を探しているなら、オレの話も合わせて考えて欲しい」
「うん」
「ダメだったら、ハッキリ断ってもいいからね」
「うん」

この様子だったら、こちらの都合を押してもいける。
そうとも見当がついたから、すぐに用件を切り出した。

「今まで、夜の仕事ってしたことある?」
「ないよ」
「じゃあ、あまりよくわからないっていうのがあるね」
「うん」
「スーパーのバイトは続けながら?」
「やめようかなって思ってる」
「学校もあるしね」
「学校はあまりいきたくない」
「ダメだよ。学校はちゃんといかないと」
「えー、だってつまらないんだもん」

こんなこといっても。
おそらく学校をやめるのではないか。
関係ないと、少しの心配を振り払った。

「オレは一応行っといたほうがいいっていっとくよ」
「うん」
「田中さんにいろいろ紹介されて、学校辞めたなんて言われたくないからさ」
「そんなこといわないよ」

近いうちに。
誰かが彼女を金にする。

そう念じると、そこは自分が真っ先にやりたいと、気負いが沸いてくるものだった。

「それでカレシの店に協力しないといけないから、月に30万は稼ぎたいね」
「うん」
「それで業種だけど、キャバクラは?」
「うん・・・、考えてる」
「AVは?」
「・・・ちょっと」
「風俗は?」
「・・・ちょっと」

彼女の表情と体は一瞬ビクッとした。
しかし、拒否反応はない。
引いてはない。

「聞いてみただけだから、ダメなら断って」
「・・・うん」
「抵抗ある?」
「・・・うん」
「カレシはなんていってる?」
「・・・うん、・・・やってみたら、といってるけど」
「そっか」 
「・・・」

彼氏は頑張っている。
しかし、彼氏という立ち位置とスカウトは両立しないものだった。

トスされたのだ。
もう自分がアタックして面接まで連れていくだけ。

女のコというものは、いったん気持ちが決まれば、あとは多少の理不尽があってもしっかりと働くものだった。

「いろいろなお客さんがいるけど、普段カレシとしてように接すれば大丈夫」
「・・・でも」
「ふだんカレシとエッチするでしょ?」
「・・・まだしてない」
「カレシのウチとかいかないの?」
「うん。・・・会社の寮だから行けないの」
「店終ったあとに、遊んだりは?」
「会社に戻って売上集計しないといけないからといって、いつも閉店前に帰されちゃうんだよね」
「そう。休みの日にあえばいいじゃん」
「オールミーティングしないといけないといって会えないの」

彼氏のいうことを、すべて真に受けている。
すごく真面目なおバカさんに見えたが、このくらいの年頃の女のコは、こんなもんかもしれない。

「あのね、キャバクラだったら週3日出勤で、時給は初心者だから2500円からになると思う。そこから税金10%引かれて衣装代引かれて手取り12万ぐらいだよ」
「うん・・・」
「それだったら、今のスーパーのバイト辞めてまですることないと思う」
「うん・・・」
「オレの知ってる店は大手だから融通もあまりきかないし。どこかのスナックとかだったら別だけど」
「うん・・・」
「風俗は歌舞伎町の●●●●っていう店なんだけど、知ってる?」
「ううん・・」
「のぞみだったら、1日の出勤で5万だと思って」
「え・・・」
「週3日でも最低で50万稼げるから」
「そんなに・・・」
「うん。でも、もちろん努力もしないといけないし、波もあるから。あるときは貯金をして、あとはカレシを助けてやってさ」
「うん・・・」
「あした時間ある?」
「あしたか・・・」
「きょうはもう夜遅いし、これからカレシの店にいくんでしょう?」
「うん」
「店の担当者と会って詳しく話を聞いてみて、大丈夫そうだな、と思ったら1日体験で入店してみればいいし」
「うん・・」
「やっぱり、女のコだから店の雰囲気とか、スタッフの感じとかあるからね」
「うん・・」
「なんかイヤだな、って思ったらオレが店長に断ってやるから」
「うん・・」

明日の午後1時に、東口交番前で待ち合わせることにした。

彼女は、彼氏に相談する。
その上で連絡が取れて、明日に待ち合わせができたら、彼氏も了承して、本人も風俗で働く気持ちは固まってるということになる。

多くの女のコは、誰にも内緒で風俗をする、
相談したとしても一部の友達になる。

相談受けた人間は100%やめたほうがいい、というだろう。
新宿のスカウトなんてうさんくさすぎる。
だけど今回の彼氏だったら、うまくフォローしてくれる。

まだ時間があったので、歌舞伎町のゲームセンターによって、携帯のシールをプリントした。

シールごときで、はしゃぐ彼女を見てやっぱりまだ18歳だな、と思えるかわいらしさを感じた。
こんな妹がいたら・・・、と久々に妹願望がでてきた。

自分は風俗に入れ込んでいいのだろうか?

彼女と別れたあと雑踏を歩きながら、ふと思ってしまった。

AVはどう化けるかわからない

宣伝材料、略して「宣材」。AVメーカーに営業するためのプロフィールに使われる。

翌日。
彼女は時間通りに東口交番前に来た。

予想通りだった。
彼氏が反対するわけない。
やはり自分が動かさなくても、今の彼女だったら誰かが動かす。

彼女が落ち付いたら、風俗を上がらせればいいじゃないか。
また心のなかで、そんな理由をつけた。

とりあえず、イタトマでお茶をする。

「カレシはOKだって?」
「・・・うん、・・・でも」
「どうした?
「ちょっとショック」
「カレシもつらいと思うよ。でもさ、そこでのぞみが泣いたりしたら、お互いつらくなるからさ」
「・・・うん」
「カレシも今がんばってるときだから、のぞみが支えてやらないと」
「・・・うん」

オレは、なにいってんだろ 、と話しながらふと思う。
もう会話が面倒くさくなった。

「きょうは店に面接に行くけど、その前にAVのプロダクションで宣材を取らせてほしい」
「宣材?」
「宣伝材料を約して宣材っていうんだけど、フィルム1本くらいかな、バストアップの写真を撮りたい」
「いまから?」
「うん、1時間くらいかな。すこし寄って社長紹介するから」
「・・・」
「AVのプロダクションっていろいろな仕事があるから。今は所属だけして。その後に断ってもかまわないからさ」
「・・・」
「大丈夫だよ、オレが一緒についてるから」
「・・・うん」
「じゃあ、行こう」
「・・・うん」

南口のAVプロダクションの『セクシャル』に向かう。
社長に連絡しておいたので、宣材撮りの用意はしてあった。

彼女としては、AVは気が進まない様子。
すぐに稼ぎたいという目標があったので、最初から風俗店に持っていくつもりだった。
風俗店にレギュラーで在籍できるのだったら、スカウトバックもそこそこいく。

それに、彼女の場合は早く稼がせないと、他のスカウトに動かされる。
初心者の彼女は飛び(バックレ)はないだろう。

しかし、AVはどう化けるかわからない。
だから、両者に持っていく予定だった。
そうすれば自分の目も届く。

彼女には、なんだかかわいらしさを感じていた。
だから、店を辞めたとしても少し距離を置いて見ていたい、と思っていた。

宣材撮りを少しのぞいてみた。
裸を見られた彼女は胸を隠して、照れた様子を見せる。
スラリとした贅肉がない、18歳の裸だった。

写真を撮り終わる。
誓約書にサインして完了となって、事務所を出て歌舞伎町に向かった。

自分は考え事をしていて無言で歩いていた。
彼女も無言だった。

「のぞみ?」
「なに?」
「店はできそう?」
「・・・うん」
「大丈夫?」
「・・・やってみる」
「そうか」
「・・・うん」

考え事とは “ のぞみとしたい!! ” ということだった。
めずらしく感情的なものが沸いてきていた。

「・・・でも、のぞみが大丈夫でも、オレが大丈夫じゃない」
「エッ」
「これから、客にサービスするでしょう」
「・・・うん」
「でも、オレは客にはならないから、なんていうのかなヤキモチやくっていうのかな。・・・みっともない話だけど」
「・・・」
「ちょっと、そこに寄っていこう」
「・・・」

そのまま店に向かって面接までいけば、今回のスカウトは完了となるのに。

通常はスカウトしたコには、カラダを求めることはしない。
とくに経験者には、そぶりも見せてはいけない。
言わないから、女のコも割り切って仕事できる部分もあると思う。

すぐ近くにあるラブホを指差して向かうと、彼女はついて来た。
彼女もその気だったのでは・・・とは自分の考え過ぎだろうか。

部屋に入ると「カレシともまだなのに・・」とテレ笑いをしていた。
上半身を脱いでから、彼女の服を脱がして、「おフロ入ろ・・」というとニコッとして「うん」という。

男性経験が少ない様子が可愛くもある。
フロを出てからベットへ。

やがて挿入。
ゆっくりと腰を動かす。

ホントにカワイイと感じながら、細い体を抱きしめながら射精した。

女は商品というけど

「女は商品」だなんて思ったことはなかった。

ベットの上で2人でボーとしていると、彼女が体の向きを変えた。
近くで目を合わせてきた。

「田中さんて・・・」
「うん・・・」
「わたしのことを商品だと見てるって気がした」
「・・・」

商品だなんて、なんだか古臭いことをいうな・・・、と彼女をみるとフフッと笑う。

自分は女のコを商品だと考えたことはない。
訳わからないこともいうし、このバカと思ったり、一緒にいてうっとうしいときもある。

そしてかわいいな、というときもあるし、この業界が自分自身もイヤになるときもある。

基本的に女のコが好きで、女性というものに対して何かを望んでいるから、苛立ったり、腹立たしいときもあるんだ・・・という気がする。

とても、女のコを商品だと捉えてスカウトはできない。
もう1度セックスになった。

正常位で挿入しながら、抱きしめてキスして舌を絡めた。
細い身体を仰け反らせて、甘さが増したよがり声を荒げた彼女に勢いよく腰を打ちつけた。

イッたあとは、彼女の脚を開いた。
2本指で手マン。

潮吹きもさせて騒いでから、呼吸も落ち付いて、静かに横になっていると、彼女は「なんだかカレシにわるい・・・」とつぶやいた。

それを聞いて、なんだか気まずくなりもした。
自分がバカみたいな気もしてきた。

外に出ると薄暗くなっていた。
店までは10分もかからない。
向かいながら、店長に電話するともう店の近くだった。

フロントで店員に挨拶して、奥の事務所に向かう。
店長に紹介して、しばらく話をしてから、もう大丈夫だな・・・と思った。

「のぞみ」
「はい」
「オレ、じゃまになるから帰るよ」
「うん・・・」
「あとは店長にお任せするから、なにかあったらすぐに相談するようにしてね」
「うん」

彼女はニコッと笑った。
このときは、その笑顔がうっとうしく感じた。

あのときだ。
ホテルで彼女が「カレシに悪い・・・」とつぶやいたときだ。
あれから急に気持ちがしらけていた。

宣材撮りが終ってから、まっすぐに店にむかうべきだった・・・と、うな垂れながら東口に向かった。

– 2003.1.20 up –