風俗の講習の流れ


客の衣服を大事に扱う

カオリは講習にすんなりと応じた。

とはいっても、はっきりとは返事はせずに、3ミリほどのうなづきを見せただけだったが、きっと応じるとは見当をつけていたので、さっさと準備をしてレンタルルームの個室に入り、照明を少し落としたところだった。

「カオリさ」
「はい」
「まず、入室したらお店に電話して、はいりましたって。さっき渡したプリペ使っていいから。そこから時間スタートね」
「はい」

薄暗くなると、カオリは少しだけ大きくした目を向けてきた。
講習のはじまりを告げるのは、それで済んだ。

「で、タイマーセット。45分コースだったら30分、60分コースだったら45分にセット」
「え、何分ですか?」
「ああ、また、その都度教える。今はざっと流れで。で、タイマーが鳴るまでにお客さんイカせちゃって。ピピピッて鳴ったらシャワーの時間だから。次にお客さんが続いているときは、そのくらいに店からも電話するし」
「あ・・・、はい」
「そしたら服、脱ごうか。ここカゴあるから、タオルはここね」
「あ・・・、はい・・・、あの・・・」
「うん」
「ほんとにするんですか?」
「ほんとにってなにを?」
「あの・・・、脱いで・・・、やるんですか?」
「うん、脱ぐ」
「あ、はい」
「・・・」
「え・・・、ぜんぶ・・・、ですか?」
「うん、ぜんぶ」
「あ、はい」

笑顔が固まって、目線を下に向けた彼女だった。
照れがあるだけか。
わざと照れを押しのけて、説明を続けた。

「あ、そうだ。脱ぐのが恥ずかしいっていうお客さんも多いからさ、脱がしてみようか」
「あ、はい」
「カオリのほうから先に脱いでみて、1枚か2枚。そしたらお客さんの服にも手をかけよう」
「はい」
「お客さんの服はハンガーにかけてあげて」
「はい」
「お客さんのパンツも靴下も、カゴにポイしない」
「はい」

先に彼女がアウターを脱いでから、自分のジャケットを脱がしてハンガーにかけた。
照れながらも、手つきがよかった。

お客さんのパンツも靴下も脱がしてあげて、それらはバスタオルに挟んで包んで脱衣カゴに置く。
で、フリチン姿で放置しない。
すぐにバスタオルを腰巻する。

ティッシュ使いを工夫する

このときに2言3言でも話ながらでも、先にローションとティッシュをベッドの脇にセットしておく。
ティッシュをセットをすることを、講習に追加したのだった。

射精したあとに、ティッシュをボックスからシュッシュッと取り出す慌しい連続音が耳に入ると、なんだかオナニーが思い出されるようでせっかくの余韻が下がる。

さらに、精液をくるんだティッシュを丸めてゴミ箱にポイ捨てとなると、もっと余韻は下がる。

だから事前に、四つ折りにしたティッシュを3枚ほど用意して置いておく。
やる気を見せるようでもあるが、客は嫌な気はしない。

口内発射の精液をティッシュに出したあとは、それらはそっと畳んで、そっとゴミ箱に入れる。
丸めてポイ捨てはしない。

なんとなくではあるが、射精させられた男というのは、それらの様子を必ず見てるものだった。

視察と称して他の風俗店にいったときに、上記のようなティッシュの使い方をする女の子がいて『これはいいっ』とパクッたのだった。

さらにいえばその女の子は、畳んだティッシュをそっとゴミ箱に入れるときには、男がなんとなく見ているのをわかっていて、こちらにニコッと笑みをしながらだったのが余韻を上振りさせた。

が、笑みまでは細かすぎる。
本人のセンスに任せるしかない。

結局のところテクニックというのは、人から教わるよりも、自身で見つけていくもの。
講習をしておきながら言うのもなんだけど。

どこから源氏名をつけたのか?

3日前の面接のときに、カオリという源氏名だけは決めていた。
以前にスカウトした女の子の名前だった。

もう4年ほど前になる。
本名は内田香織とフルネームで覚えているが、携帯の電話帳を検索して確めてもみた。
やはり内田香織だった。[編者註74-1]

まったく上がらない寒い日の最後に声をかけたのも、白いコートで歩いていたのも、こちらに向いた目の感じも、軽く腕をつかんで足を止めたのも覚えている。

翌日に待ち合わせできてAVプロダクションに向かったのも、やけに街中ではブリトニー・スピアーズのウップスなんちゃらが流れていた頃だったのも覚えている。[編者註74-2]

誓約書にサインしてから宣材写真を撮ったのだけど、脱ぐとおそろしくおっぱいがよかった。

AVでの芸名は森岡由紀子だった。
由紀子は彼女が考えてきていて、森岡は事務所が決めた。

後に単体契約が決まり、スカウトバックが大きかったので、2つの名前ははっきりと覚えている。

スカウトがうまくできたときは、諸々がとんとん拍子に進むものだった。

彼女と顔を合わせたのは、そのあとを含めても3回だけで、とりたてて込み入った話もせずに時間も短くて、スカウトバックの割には詳しいことはよくわからない。

出演したAVも観たが、1度も会ったことがない知らない女の子みたいで、本当に彼女をスカウトしたのかと思えてもくる。

こういったのは知りすぎていてもオナニーができないものだし、中途半端に知っているだけというのも少しばかり淋しい気がするものだった。
いや、オナニーのことはどうでもいい。

日記を読み返してみると、好奇心からAVをやるほうが続くというのと、身体に自信がある女の子が脱ぐということが、彼女をスカウトしたころからわかってきたようでもある。

今からすれば、好奇心には男の性への疑問も混ざっていたのかもしれない。
突然にして好奇心は抱かないし、疑問も混ざるのでもない。

以前から抱いていたと思われる。
スカウトできたのは、自分の力量でもないこともわかるようだ。

とにかくも3日前の面接のときに、彼女も彼女も同じ大学の巨乳という共通点があって、源氏名の候補として “ カオリ ” と “ ユキコ ” を挙げると “ カオリ ” が選ばれたのだった。

携帯のメモリーは消去。
『この子はカオリ、稼ぐ子になる、期待しよう』と念を入れて、今日の講習になったのだった。

股間よりも手のほうが雑菌がある

昨日の電話で、遠藤は言いづらそうに明かしていた。
あの日は最初はおっパブの面接に連れていき、落とされて、それからラブリーの面接に来たという。

おっパブで面接落ちしたのは、Fカップのおっぱいが原因だった。
そのおっパブのコスチュームは11号までだった。

彼女は太っているのではないが、身長高めの巨乳だから、11号のコスチュームが入らなかったのだ。

むりやり着てみたらボタンが飛んだとのことだ。
やむなしの面接落ちだったが、たとえ歌舞伎町のおっパブであっても、しかもコスチュームのボタンが飛んで面接に落ちたのは彼女にとっては軽いショックだったらしい。

はじめての男相手の仕事をやる気になっていた彼女には、遠藤が風俗を改めて切り出して、なし崩しに受け入れられたのだった。
それほどの大きなおっぱいだった。

カオリが服を脱ぐと、ブラジャーには深い胸の谷間ができている。
ホックを外すと規格外のおっぱいが飛び出してきた。

乳輪大きめのピンクの乳首。
斜めから見ると、すでにこりこり気味の乳首の突起によって、おっぱいが尖っているように見える。

裸になったときは、おっぱいを押さえて膝を上げたり下げたりして照れていた彼女だったが、髪をアップにして、シャワーを浴びるころにはそれも解消していた。

湯音がするなかでは、かしこまった態度もくだけてきて、口調には親しみを帯びてきていた。
教えていたのはグリンスの使い方だった。

「手はしっかり洗って、このグリンスつけて。これ、強力だから」
「はい」
「ちんこよりも、手のほうが雑菌があるんだって」
「ほんとに?」
「うん。床屋さんがいっていたよ。ちんこはパンツの中にしまってあるから、ほかから雑菌がつきづらいんだって」
「へえぇ」

そんなことを話しながらも、すでに勃起したチンコをカオリは洗っていく。
シャワーの湯は、おっぱいを這って流れ落ちていく。
薄めの陰毛がそよいでいた。

どういう流れでキスをするのか?

教えながらさせてみるのは、シャワーだけでもけっこう時間がかかる。
シャワーを終えた。

「お客さんの背中は拭いてあげて」
「ウン」
「タオル使いが上手な女の子って、ポイントが高いから」
「ウン」

背中をぽんぽんと叩くようにしてうまい具合に拭いて、さっき教えたばかりのバスタオルの腰巻きもしてきた。
もう照れもなく、手際はいい。

バスタオルを巻いたばかりのカオリだったが、シャワーを出た途端に、頬に手を当てられて寄せられた。

「アッ」といいかけてる唇をふさいだ。
「ンン・・・」と喉で声を出す彼女の頭を抱えこむと、唇が開いた。
差し入れられた舌先を受け入れて、チロチロと合わせてきた。

舌は絡められて唇を吸い、バスタオルは剥ぎ取る。
乳首を少しだけ吸ってから改まって向き合った。

「まずはキス。基本ね。キスが上手だとサービスいいってなるから。カオリからしてあげて」
「ウン」
「今みたいにできるな?」
「ウン」
「で、キスしたら前戯。全身リップね。すぐにチンコにいかない。男を感じさせる自信ある?」
「エ、ないよぅ」
「やってみよう」
「ウン」

カオリの返事は明るい。
ベッドに大の字になると、カオリは上になる。

耳たぶと耳の穴から、指舐め、乳首、ひっくりかえして背中。
教える通りに、それらにちゅっちゅっと音を立てて唇を押し付けていき、舌先でなぞり、指先で撫でる。
忠実にリップを続けるあたり、フェラも同じように続けるだろうなと思わせた。

揺れるおっぱいが触れてくる。
目をつぶって、唇と舌のおっぱいの感触と、吸いつきの音を堪能した。

アナル舐め解禁

太もも、ふくらはぎと、唇が下半身に移っていく。
内腿にもリップをさせた。
少し鼻息がかかってくる。

「カオリ」
「ン・・・」
「タマもしてみて」
「ン・・・」
「あ、、ああ・・・、なんか、上手・・・」
「ン・・・」

身を伏せたカオリは、股間に顔を押し付けるように金玉に吸い付いた。
呻き声を出して上手さを褒めると、玉袋を唇で挟んで、引っ張るようにしてねぶっている。

講習だからではなく、言われたからではなく、頑張ってるわけでもなく、自然にプレイに没入しているこの呼吸の感じは、いい風俗嬢になる素質がある。

たぶん、アナル舐めも大丈夫ではないのか。
オプションではバツになっていたけど、なにかひとつでも解禁をさせたかった。

「カオリ」
「ン・・・」
「アナルもやってみて」
「アナル・・・」
「お尻の穴のこと」
「ここも・・・」

こんなポーズをとるのは、本当はすごく恥ずかしい。
恥ずかしいのだが、膝を抱えて大股開きのポーズになってアナルをさらけ出した。

彼女はポツンとつぶやいてから、鼻息と舌をアナルに合わせてきた。

「上から下までゆっくりやって、そう・・・」
「ン・・・」
「あぁ・・・、アナル舐めはさ、オプションで1000円だから」
「ン・・・」
「お客さんがつけたらしてあげて」
「ン・・・」
「指先でもなでてみて・・・、そう・・・、で、また、舌先でつつくようにして」
「ン・・・」

レロレロとした舌の動きにカオリのやる気を感じて、本当はすごい恥ずかしいが、さも当然というように、今度は四つん這いにもなってみた。
すごく恥ずかしいのだが、まったく平気なふりをしてアナル舐めを求めた。

カオリは無言のまま、四つん這いの尻肉に手をかけてきた。
尻肉は左右に広げられて、思ったとおりに呼吸を荒めにしながら、ちゅっと音を立てながらのドリル舐めもまでもこなした。

フェラ顔は重要

はやりフェラは上手だった。
まずは裏筋をハーモニカしながら丁寧に唇を這わせていく。

咥えこんでからは、手を使わないフェラである。
先端を集中して責めてきている。

風俗店の講習
手を使わないフェラで先っぽフェラというテクニックだった

舐めているというより、舌で亀頭をこねくり回しているようである。
ゆっくり振られる首は『これでいいの?』と訊いているようだったので応えた。

「カオリ」
「ン・・・」
「すごい上手・・・」
「ンン・・・」
「つづけて・・・」
「ンン・・・」

喉元の声で返事をしたカオリの舌の動きは、少しだけねちっこくなった。
弾力がある舌がグルグルとよく動いて絡まって、舌先がカリ裏をなぞる。

明らかに男から教わったフェラだった。
彼氏に要求され、彼氏に教わって、よく彼氏に施しているのだろう。
そして今も、彼氏と同じように施している。

心の中で、彼氏に上から目線で『よいではないか・・・』とお礼を述べると、気持ち良さは増した。

「もっとフェラ顔を見せるようにしよう」
「ン・・・」
「男はさ、フェラしてるところを見るから」
「ン・・・」

合わせて自分から教えたことは、金玉の揉み方だった。
舌を長く伸ばして舐め上げていき、形がよく整った細い眉のフェラ顔を見せつけながら、難なく金玉をほどよく揉めている。

カオリが見せるフェラ顔と、玉揉みの力加減に、下半身が緩んでいく。
つい気を抜いたものなら、射精感が押し寄せてきそうな兆しがする。

早めに精神統一をしなければ、あっさりとイッてしまうかもしれない。
こんなこともあろうと準備はしてあった。
一発で射精回避に効くだろうコラージュ画像を、すでに頭の中に作りかけてある。

完成してしまうと慣れてしまって効かなくなるので、突飛もなく思い浮かべることだけはできるようにと、アウトラインだけで止めといたコラージュ画像だった。

目を閉じた。
まぶたの裏の黒い空間に、野村沙知代のフェラ顔を投射した。[編者註74-3]
狙い通りだった。
勃起は継続したまま、射精感だけはすぐに遠のいたのだった。

お腹の肉がいちばん恥ずかしい

フェラは続けられていたが、シックスナインをしたくてたまらなかった。
彼女を上に跨らせると、腰が引けている。

お尻を引き寄せるまでには「もうちょっと突き出してみて」と、何回も優しく言葉をかけなければだった。
マンコはすんなり見せれても、アナルは恥ずかしい様子だ。

腰を反らせて突き出させると、力を込めて締めていたお尻の割れ目が広がって、隠そうとしていたらしいアナルが晒されて「キャッ」と小さく叫んでいるのが聞こえた。

「シックスナイン、知ってるでしょ?」
「でも・・・」
「どうした?」
「したことなかったから・・・」

勃起に話しかけるように、小さな声で答えている。
キュッと閉じられているアナルを見つめると、可愛らしいと思う気持ちが広がっていくようだった。

お尻は、いくぶん汗ばんでいる。
撫でながら訊いた。

「カレシとはしないの?」
「なんか・・・」
「うん」
「女の人のアソコが苦手なんだって」
「そっか、いるね、そういう人って」

勃起を上下にひくつかせると、カオリは手にとって口に含んだ。
締められていたアナルも緩んだ。

びらぁっと小陰唇が形良くはみ出していて、見え隠れするピンクの膣肉はヌメヌメしている。

クリトリスを剥き出しにすると、お尻がぴくんと震えていた。

ヌメヌメの汁が垂れそうになるまでクリトリスをクチュクチュとこねくり回して、汁を指先でこすり合わせて離して、粘り気ある糸を引かせてみてた。

膣肉を唇でねぶって、ヌメヌメ汁を口に含めて飲み込んだ。

カオリのピンク、カオリのヒダヒダ、カオリのヌメヌメ、カオリの湿り気・・・と、胸の中での名前の呟きが汁にまぶされて、味覚がおいしさに変化するようで目が細まった。

粘りがあるものは滋養強壮があるというのは、ここからきているのかもしれない。

ともかく、呼吸が荒くなってきたまま、粘る汁を舐めとった。

オレのカオリ、オレのお尻、オレの太もも・・・とお尻を下から抱いて、太ももを抱えて、内腿も唇でつまんでみて肉感を確かめた。

すねにも手を伸ばして擦ってみて、手入れされたツルツル感も確めた。
3日前の面接とき、毛穴が埋まった上質なすねが鮮明に記憶されたままだった。

それぞれの部位の肉感も確かめたい。
下の向きに垂れているおっぱいに手を伸ばして、手のひらで重さを測るように揉んでみて、お腹にも手を伸ばして柔らかさを揉み比べした。

勃起から口を離したカオリが「ヤァ・・・」とつぶやいている。
今まででいちばん恥ずかしそうな、それでいて甘えたような声がする。

服を脱いだときや、アナルを晒したときよりも、お腹の肉を揉まれるのがいちばん恥ずかしいようだった。

カオリは太っているのでもないし、通常のぽっこりお肉ではあったが、それでも年頃の女の子らしく気にしているのだ。

「カオリ」
「ン・・・」
「ダイエットなんてするなよ」
「エ、なんで・・・」
「ダイエットするとオッパイもしぼむんだよ。今のままがいい。ダイエット禁止な」
「ウン・・・」

カオリは素直に返事をして、フェラを続けている。

お尻の局面はゆっくりと丹念に撫でた。
閉じた瞼の中の奥行きがある暗い空間に、撫でている楕円形のお尻を立体に造形した。

両方の手で尻肉を鷲掴みして、5本の指の腹で肌感を確かめて、あちこち位置をずらして弾力が上質な部分を確かめて、暗い空間に造形された白いお尻に弾力を付加した。

いつまでもお尻の造形に集中していたい気分だった。

どの程度やれば講習といえるのか?

シックスナインに没頭しすぎて、あっという間に講習をはじめて2時間が経っていた。
正上位素股で2回目の射精を終えたときには2時間半が過ぎていた。
12時には受付をはじめたい。

店からの電話が鳴ったのは、終わりのシャワーを出たときだった。
風俗未経験の初日というのに食いついた客がいるらしい。

60分コースで、新規客だけどマナーはよさそうな30代サラリーマンで、本人も「待ちます」と言い切ってるので受けちゃってもいいですか、と小泉はいう。
あと15分でいけると電話を切った。

もうカオリは、初めての客が付ついたのも、その客と15分後には接することも察したようだ

「カオリ」
「うん」
「もう、お客さんついたって」
「もう・・・?」
「うん。できそう?」
「やるしかないんでしょ?」

返事は質問形ではあるが、熱っぽく力強い。
さっきまで「キャッ」とか「アッ」とか「ヤッ」とか小さく叫んでばかりだったのに。

落ち着いた呼吸がある。
いよいよ客が付くとなってスイッチが入ったというか。

いや、スイッチはだいぶ前に入っている。
どこかにある静音のモーターが急回転したときのような、わずかな放電交じりの空気の動きを感じさせる。

客を選べない風俗の女の子が、全神経を張り巡らせて集中してるときに発する空気だ。

途端にまた自分は、カオリで射精したくもなってきた。
裸とか匂いとか感触とか関係なく、女の子の頼もしさを感じすぎての射精感ってある。

普通の人は、そんなところで射精には至らないだろうけど、自分はなにがあったのか知らないが至ってしまう。
が、講習は終わりだ。

すぐに着替えてルームを出た。
外気は冬になっていた。

真の巨乳好きとは、ぽっちゃり好きでもある

1人目の客は無事に帰り、2人目の客はサービスチェックで入ったオーナーだった。
オーナーの評は上々だった。

健気なことに、カオリは教えたことをすべてやっていた。
解禁したオプションのアナル舐めも、金玉揉みも、イカせたあとのお掃除フェラも、ティッシュの扱いも、カオリは笑みを浮かべながらこなしていた。

すっかり忘れていたが、あとから思うと、あれほどおっぱいがでかいのだからパイズリだけは教えればよかった。

それはともかく、カオリが難しいところは、写真だとえらくデブに撮れてしまうところだった。

在籍のなかでは、いちばんにデブに写ってしまう。
繰り返すが決してデブではなくて、身長高めの小顔のうえに骨太の肩幅広めの体格でFカップだから、着衣の加減もあって、体が大きく太く写るのだった。

もちろん、写真よりも本人のほうがずっといいというパターンなので受付のときは推しはするが、それでも客は「ふとっているのはちょっと・・・」と口ごもるものだった。

写真指名は取りずらいとは予想していた。
自分に写真のスキルがないのがあるが、2回3回と撮り直しても、せいぜいがぽっちゃりに撮れてしまう。

しかし写真がぽっちゃりでも、カオリは以外と写真指名をよくされた。
さほど推さなくても、Fカップというプロフィールに客は食いついた。

自分は知らなかった。
すべての男はおっぱい派かお尻派かに属しており、女性の体のありようについては争論するものだが、お尻派の急先鋒である自分は知らなかった。

おっぱい派の中でも巨乳を標榜する一派は、ぽっちゃりくらいは許容範囲だったのだ。

巨乳の女の子は他の部位の肉も付くという自然で当たり前の人体の造形を、純正の巨乳一派だけは正しく理解している。

ボンッキュッボンという巨乳などありえない、と達観してるかのようだった。
漢といえる。

それから1ヵ月ほどしてからだけど、風俗好きの客に限っては、ぽっちゃりを許容するチャレンジャーが多いのにも気がついた。

島田や遠藤にも「デブはムリ」と伝えていたし、高収入求人誌でも女の子のほうでわかっているのか。

今まで、デブといえる女の子は面接に来たことがなくて在籍もしてなかったが、ぽっちゃりぐらいまでだったら、あと3人か4人は在籍させても大丈夫だなと見当がついた。

在籍が15名に増えるまで

結局は、カオリは無事に在籍となって、遅刻も当欠もなくは早番で出勤してきている。
初めての在籍ができると、遠藤のスカウトの勢いは良い方向へ流れたようだった。

12月だけで、セイラ、アリス、ジュリ、の3名を店に入れた。

アリスと名付けた1名だけは、体験入店の翌日には電話にも出なくて、そのままトビとなってしまった。

週末の混雑している日の体験入店で、知らずに対応が雑になったのか。

新人の手離れという点では、店舗型のほうが良かった。
片手間に、カーテン越しに、様子を見ることができたので細かな対応ができた。

受付型では、新人が入店してからは、付きっきりで手間と時間をかけるのが必要だった。
電話で話すのと、顔を合わせて話すのでは、やはり違いがある。

女の子が疲れていそうなときや、凹んでいそうな声をしているときは、すぐに出向いて顔を合わせて様子を見ながら話すようにしていた。

面接を繰り返して、トビも繰り返して、12月の半ばには在籍は15名を超えるほどになったが、まだシフトは薄かった。

在籍が増えると、女の子が騒がしくなったようである。
連帯のある騒がしさ。

女の子同士で顔を合わして、おしゃべりする機会が多くなったのもある。
私服のままで待機したり、出歩いたり、外の空気を吸ったりするから素が出てくるのもあるだろうし、電話で話すのは遠慮がなくなるのもあるのかもしれない。

ちょっとしたことで、気持ちが凹んでいるのを口調に出してきたり、一方でちょっとしたことで笑ったり、飛んだり跳ねたり怒ったりする度合いが大きくなった。

カオリに限らずだったが、そんな態度をとりながら女の子とは不思議なもので、後日になると講習などなかったかのように接してくる。

自分も平然とした顔をしていたし、お互いに講習のことは口にしないまま。

しかし実のところは、カオリをオナペットにしていた自分だった。

カオリと平然と接した日のあとでは、気分としては、こそこそとオナニーをしてるようだった。

オナニーとは、こそこそするほど執拗で醜態となる。
シックスナインしたときのお尻の造形も弾力もしっかりと手の平で記憶していたから、空中を撫で回して、空中を指先で揉んだ。

もう片方の手で勃起をしごいて、カオリの名前をつぶやきながら思い出しオナニーしていた。

はじめての客がつく直前の「やるしかないんでしょ?」と返事したときの、熱っぽい表情の一瞬だけでも、賞賛交じりの射精が何回もできていた。

– 2023.05.06 up –